|
 |
 |
 |
 |
 |
僕が小さいころに憧れたのはジル・ビルヌーブ。あのいつもアグレッシブなドライビングスタイルが大好きでした。僕はまだ子どもだったけれど、ヨーロッパではF1を全戦生放送していたから、タイヤがバーストして3輪走行をしたザンドフールト(オランダ)とか、とにかく夢中になって彼を見ていました。だから彼がゾルダー(ベルギー)で亡くなったときはものすごくショックでね。アグレッシブなスタイルという点では、その数年後に活躍したケケ・ロズベルグも好きでした。でも僕のドライビングスタイルはビルヌーブと同じではないです……。
一番すごいと思うのはミハエル・シューマッハー。彼は僕の2歳年上で、ドイツやイギリスのフォーミュラ・フォード(FF)でも一緒に走ったことがあります。彼は何に乗ってもとにかく速いのです。ホッケンハイムの1コーナーで後ろから彼のドライブを見たけれど、コーナリングが全然違うのです。ズバッとコーナーに入ったら直角にターンして加速するというか、昔から違う走りの世界にいました。それにクールだし、焦らないし、プレッシャーに強い。彼の後継はキミ・ライコネン、フェルナンド・アロンソ、ジェンソン・バトンかな?
シューマッハーはアイルトン・セナよりも上でしょう。それは速さという点でもそうだし、あのフェラーリを再びトップチームにしたという力もね。彼の言うことに従ってどんどんクルマもチームも進化したし、彼の開発力でレベルが上がっていったし、あれは特別な才能ですね。家族でやってるような小さなチームであれば、お父さんを中心にやれないことはないけれど、スタッフを何百人も抱えるような大きなチームで、それができたことは本当にすごいことだと思います。
ところで僕の周囲には若いドライバーが多くなっていますが、ワークスドライバーにあこがれているもっと若い選手には、自分のドライビングスタイルにはまらないで、良く周りを見て一番いいやり方を勉強していって欲しいと思います。僕もまだ常に勉強。コース脇へ行って速い選手の走り方を見て研究しています。それと相手に対して「彼は速くてかなわない」と思わないこと。常に「追いつきたい」と思って走ることです。僕も昔は遅かった。でもポイントをつかんだら一気にタイムアップするから、そうなると走るのが面白くなってきます。マッスルメモリー(意識しなくても体が覚えているような自然な動き)で走れるよう、頑張ってほしいですね。
|
|
 |
 |
 |
 |
 |
|