Vol.5 - 2013.8.19

悔しさ交じりの苦笑い

皆さん、こんにちは!
SUPER GT第5戦POKKA SAPPORO 1000kmレース、猛暑の中、熱い応援ありがとうございました!!

1000kmという長丁場のレース、略称「鈴1000」を制することへの思いはどのチームも強く、そして、そのレースを制したチームへのご褒美として獲得ポイントも大きいため、私たちNISMOチームもいつも以上に身の引き締まる思いで、優勝だけを考えながらサーキット入りをしました。

今回は2014年SUPER GT GT500マシンの発表会も搬入日の金曜日に行われたため、レース車両の開発も行っているNISMOにとっては、とても忙しいレースウイークとなりました。

アンベールのこの日を迎えるまで、開発部隊は苦労を重ねてきました。もちろん更なる開発に向け、これからも様々な課題をクリアしていく必要がありますが、やはりみんなが苦労して作り上げたマシンが走るのを見ると感慨深いものがありました。

皆さん、2014年仕様のNissan GT-R Nismo GT500はいかがでしたか???
あのGT-Rの男らしいガッチリした感じが、私にはかっこよく思えます!(身内びいき傾向な意見はお許しください 笑)

そして土曜日予選、午前からマシンの状態は良かったのですが、セパン・SUGOとQ1でノックアウトされてしまっている悪いイメージがドライバーだけではなく、チームにもまだまとわりついていたのは事実でした。しかし、「その悪いイメージを取り払って、思い切り走れ」という吉田エンジニアの言葉で柳田くんも吹っ切れたようで、Q1を4位で通過することが出来ました。Q1ドライバーは確実にQ2ドライバーへとバトンをつなげることが重要な仕事なので、今回は余裕を持って早めにピットアウトをし、柳田くんのペースで、そして自信を持って予選を走れるよう、吉田エンジニアがうまくマネージメントをしてくれたと思います。

Q2はRONNIEが見事ポールポジションを獲得!セパン・菅生と予選を走ることが出来なかった分まで、力を出し切ってくれました。タイムモニターの一番上にいたずっと調子の良かった18号車の上に、ポン、と「23」という数字が上がった瞬間の感動というかあの気持ちは、何とも言えないものでした。PITにいたチーム員もポールポジションを実感するのに、しばらく時間がかかったと思います(笑)。

そして、決勝・・・。やはり一番前のグリッドは気持ちがいいものです。レースは5スティント、4ストップ、スタートドライバーはRONNIEという作戦でした。レース直後はいいペースで走っていたRONNIEですが、予想以上にタイヤがきつくなってきたため徐々にペースが落ち、ポジションを落としてしまいました。そのため予定より5周早いタイミングの29周でピットイン。このタイミングでピットインをすると、もう一度ピットインをしなくてはいけないかもしれない、という厳しい状態でした。

そのため、第2スティントの柳田くんはかなり燃費走行をしなくてはいけませんでした。そして、2回目のピットインの直後SCが入り、そこからNISMOへ一気に運が傾きました。ちょうど全てのマシンが燃費を考えるとピットインをしなくてはいけないタイミングだったので、レースは混乱状態となり、それが先にピットインをしていたNISMOにとっては有利に働き、リスタート後には2位まで再度ポジションをあげることが出来ました。その時点でトップを走っていた1号車は残念ながらペナルティを受けてしまい、それがなければ一緒に表彰台に上れていたのではないかと思うと残念です。

その後は、常に安定した速さを見せる18号車とのトップ争い。柳田くんは少しミスをしてしまい18号車にオーバーテイクを許してしまいましたが、タイムを見ている限り18号車が優勢なのは明らかでした。23号車もプッシュが出来ればもう少し速いタイムで走ることも可能でしたが、燃費を考えるとあのペースが限界でした。常に100%で走りたいドライバーにとっては、本当に我慢のレースだったと思います。

また、柳田くんの2回目のスティントでのアウトラップではGT300マシンに当てられ、コースアウトをするも何とか踏み留まってくれました。「GT300に当てられたよ!」という柳田くんの無線を聞いた時が、長い1000kmレースの中で一番ヒヤリとした瞬間でした。

139周での4回目の最後のピットインは、18号車も同時にピットロードに入ってきました。あれは鳥肌が立ちました!!7秒前を走っていた18号車との差を、ピットワーク後には18号車の真後ろまで付けさせることが出来たメカニックの完璧な仕事には、誇りを持っていいと思います。
そして、吉田エンジニアも本当に予選から決勝、全て冴えていたと思います。そして、その裏には燃費を計算する西山データエンジニア達スタッフの力もあり、NISMOチーム全員で勝ち取った2位です。

もちろん、18号車には完敗したと感じています。なので、チェッカーを受けた後も皆が悔しさ交じりの苦い笑顔でした。ただ、全員がやるべきこと、そして出来ることは全てやった結果なので、これを受け止め、必ず今度は表彰台の真ん中に立てるよう頑張りたいと思います。

3号車は速さを見せるも、1号車と同じくペナルティが課せられ順位を大きく落とす結果となり、23号車とは逆に、あのSC導入で表彰台へのシナリオが崩れてしまいました。しかし、今回スポット参戦したLUCAS含め3人のドライバー、そしてマシンの速さも充分見ることが出来ましたので、3号車もまた決して諦めることなく優勝を目指して頑張ります。

そして、今日、1000kmを走りきった23号車が鈴鹿からNISMOのファクトリーに帰って来ました。私は表彰式や取材対応、そしてN-FORCEの片付けなどでタイミングが合わず、車両保管後に頑張った23号車に会えることができず、先ほどやっと会えました。

23号車は少し左のリアにケガはしていましたが、立派に1000km走りきったすがすがしい表情をしているような気がしました。このマシンでレースをするのもJAF戦含めあと4戦。絶対にこの23号車でチャンピオンを獲って有終の美を飾りたい、そう思いました。

最後に、応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。そしてたくさんの方が私にまで現地で声をかけてくださいました。

その期待に応えられるよう、これからもみんなで頑張りますので、シーズン後半戦も応援よろしくお願いいたします。