タイの田舎のブリラム県にサーキットが新設され、そのこけら落としでSUPER GT第7戦が開催された。ブリラムは土臭くおどろおどろしくて、混沌としたごちゃごちゃを何でも受け入れてしまうタイの象徴的な街であるように感じられた。

新設で初めて走るサーキットとなるとチームやドライバーには様々なプレッシャーが掛かるが、特にグリップ力を左右する路面状態はタイヤメーカーにとって悩みの種である。2007年のセパンレースでは路面の全面張替にどんぴしゃのヨコハマタイヤの24号車が圧勝した。

今回も今までの不振が信じられないほどヨコハマタイヤが機能し、D'station ADVAN GT-R(24号車)がトップと僅差の2位表彰台を得た。

優勝した36号車は低い路面ミューにタイヤ無交換で臨み、他の無交換車が脱落する中ギリギリで24号車の追い上げをしのぎ切った。

新サーキットは鈴鹿や富士を上回る平均速度190q/hの超高速サーキットである。そうなるとGT500では空力性能やエンジン性能に優るGT-Rの強みが生きてフリー走行から予選までほぼトップを独占した。決勝も序盤は圧勝に見えたが接触事故や大小のメカニカルトラブルに見舞われ、表彰台を2台が占めるに留まった。

今年4位が続いていたGT300クラスのB-MAX NDDP GT-R(3号車)はついに優勝にたどり着いた。最後まで接戦のつばぜり合いをしてもぎ取った優勝だから嬉しさもひとしおである。

MOTUL AUTECH GT-R(23号車)はランキングトップで臨んだから、ライバルよりも上位フィニッシュで十分な結果で、そのように徹底したつもりが2度の接触事故で10位に沈んだ。特に最終周で3ポイントを失ったのでもてぎ戦で「勝てばチャンピオン!」とはならず、痛い接触事故であった。

カルソニックIMPUL GT-R(12号車)はまさかのQ1敗退の10位から追い上げ、3位表彰台でチャンピオン争いに踏みとどまった。

S Road MOLA GT-R(46号車)はQ1 2位、Q2ポールの圧倒的速さで決勝もトップを独走していたが、再び悪夢のエンジン補機のトラブルでリタイヤとなった。何故46号車にトラブルが集中するのか頭が痛い。ドライバーから「我々のドライビングに問題があるのか?」と言わしめてしまうほどNISMOとしては情けない、責任重大な問題である。他車にも細かいトラブルが頻発しているので徹底的な原因究明と対策を行い最終戦に臨みたい。

24号車はシフト系トラブルで優勝こそ逃したが、辛い今シーズンのうっ憤を晴らすが如く快走し2位を得た。ルーキー佐々木大樹はQ2で2位に入った速さも勿論だが、フリー走行時からGT300の抜きどころやタイヤマネジメントなどを入念にチェックして決勝に備える冷静さがあった。「超運転技術」の著作もあるおじさん・クルム選手は、その本の内容通り初めてのコースに素早く慣れて、24号車を良い流れに乗せた。

GT3の3号車は規則からくるその重さ故にブレーキが厳しいので、あまり期待はしていなかった。だから決勝前のフリー走行もパスしてブレーキを温存した。しかし高速サーキットと路面ミューの低さが幸いし、最後まで安定したラップを刻み嬉しい初優勝を飾った。

今回は24号車の大樹選手に☆三つ、3号車の一樹、ルーカス両選手とB-MAX NDDP RACINGのスタッフに☆三つ

またグランドスタンドから全コースが見渡せる素晴らしいブリラムサーキットと、関係者の懸念を吹っ飛ばし見事に第7戦を成功させたGTAにも☆三つ。

最終戦もてぎでのチャンピオン決定の条件は少し複雑で、12号車、23号車で1,2位を占めれば上位がチャンピオンとなる。本来の速さからGT-Rの戴冠の可能性が高いが、弱みであるトラブル対策をきっちりと行うことが肝となる。

ファンの方々の期待に応える結果を必ず出しますので、応援を宜しくお願い致します。

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