WEC REPORT

Vol.
2014.10.7

皆さん、こんにちは!

まず初めに、チャンピオンをかけた大事なこのSUPER GT第7戦タイにおいて、レースではミスを重ね予選3位から10位まで順位を落とし、不甲斐ないレースをしてしまったこと、ファンの皆さんに謝りたいと思います。

未知であるこのチャーンインターナショナルサーキットでのレースは、私たちも不安はありましたが、それなりの自信もありました。いつも以上にチームの総合力が必要になるし、それを持って戦えることが出来れば、必ず結果を出して日本に帰れると思っていました。しかし、今回のレースではNISMOが誇りを持つ「チーム力」をうまく発揮することができませんでした。

金曜日の午後の練習走行では、燃料リストリクターダウンというハンディもあり、ストレートが伸びず苦労もしましたが、早いタイミングでRONNIEもコースの特性をつかむことが出来ました。実は誰もよりも先にタイムを安定させていたMICHAELの後ろについて、ラインを勉強したそうです。やはりこのような初めてのサーキットでは、海外の転戦経験があるドライバーは強いので、NISMOのみんなもMICHAELの出だしの走りには関心をしていました。そして、GT-R勢がとても調子が良く、初めての練習走行ではトップを独占しました。

土曜日は通常通り、午前中練習走行、午後予選が行われました。午前中の練習走行ではライバル勢も皆タイムも上がり、なおかつ常に安定したタイムで走っていたので、厳しい予選になることが予想されました。Q1を担当する次生くんは特に少しのミスも許されないと、ナーバスになっていました。

しかし、実際の予選ではその不安はまるでどこかに吹き飛んだかのような走りを見せ、トップ24号車のMICHAELと2番手46号車の柳田くんに僅差でつけ、見事3位という結果を出しました。ハンディを考えれば素晴らしい結果だし、その走りを見てRONNIEも自信を持ちながらQ2に臨むことが出来ました。

そしてRONNIEも次生くんと同じく3番手。充分な好位置のグリッドを獲得してくれました。ポールポジションは46号車の本山さんで、トラブルが続いてなかなか走行できていなかったことを考えれば、これもまたチームにとってはこの上ない結果でした。2番手24号車の佐々木くんはとても悔しそうでしたが、チームもレース距離を考えても自信を持っていて、優勝すると気合いが入っていました。

そして決勝。グランドスタンドにはびっくりするくらいのお客様があふれていました。タイのサーキットはピットの上にグランドスタンドがあるため、グリッドに着くまでは、ここまでのお客様がサーキットに集まっているとは知りませんでした。もちろん、イベントもあらゆる場所で行われ、プロモーションにはかなり力を入れている様子でしたので、日本を出発する前に想像していたよりは「人が多いな」という印象ではありましたが、レースでは仮設スタンドも埋まっている様子を見て、とても感動しました。

スタート前にはタイ国歌と日本国歌が流れ、とても厳粛なムードにはなりましたが、同時に胸にこみ上げるものがありました。そして、何としてでもここでチャンピオンにさらに大きく近づきたいと強く思いました。

そしてレースがスタートしました。コースはとても狭いので、GT300車両を抜くのもとても困難な状況でした。GT300クラスに追いつくと、コース上は「渋滞」している状況で、4番手でスタートした8号車とは抜きつ抜かれつを繰り返していました。しかし11周目に8号車にオーバーテイクを許してからは、そのペースには付いていけず・・・とはいえレースはまだ序盤なので自分たちのレースをすれば大丈夫だと思っていました。

レースも半分を消化して、スタートのRONNIEから次生くんにステアリングを渡しました。しかし、ピットストップでミスが起きてしまい、数秒ロス・・・。ピットアウト後には、シフトトラブルで大きくタイムロスをしてしまっていた24号車に背後につかれ、その速いペースを抑えきれずオーバーテイクを許すと、それで次生くんは焦ってしまったのか、GT300車両に接触をしてしまいました。その後ドライブスルーペナルティが課せられ、8位に順位を落とし、その後も一つでも順位を上げるためにプッシュしましたが、最終ラップの1コーナーで後ろを走る1号車に並びかけられた瞬間に接触してしまい、10位という不本意な位置でチェッカーを受けることになりました。

とにかく、今回はなかなかペースが上がらない中、周囲のペースは速く、そしてレクサス勢はタイヤ無交換という戦略でポジションアップに成功し、NISMOは追い込まれ焦ってしまい、ミスも重なったと思います。ミスがなければ、もっとポイントを取れたはずだと考えると、後悔はせずにはいられませんし、このチャンピオンシップがかかった大事な一戦を落としたことは、やはりどこかでランキングトップにいるという安心感を持ちすぎてしまっていたように思います。

そして、優勝が目の前であった46号車もトラブルでリタイアとなってしまい、24号車が2位、12号車が3位と表彰台に上がるも、GT-R勢としてはすっきりしないレースとなってしまいました。ただ、今回はルーキー佐々木くんの成長が著しく見えたレースでもありました。一度は最後尾まで落ちてしまったなか、次々に順位を上げていった12号車にも、その勢いのある12号車を抑えきった佐々木くんにも拍手を送りたいです。

GT300クラスの3号車は予選2番手から優勝という素晴らしい結果を残し、こちらは完璧なレースをしたと思っています。チームも久しぶりの優勝で、感極まるといった雰囲気が伝わってきました。GT3マシンもまだまだ課題はありますが、とりあえず一つの大きな目標をクリアできたと思いますので、今後も開発に力を注いでいきたいと思います。

最後に・・・毎年思うことではありますが、あと残すところ1戦・・・本当にシーズンは一喜一憂している間に足早に過ぎていきます。去年はこのマシンの開発にも苦労させられ、そしてこのシーズンを迎えました。1戦1戦マシンのトラブルがないことを祈りながらレースを見ていたことは事実ですが、NISMOが一から作り上げる経過を私は見てきたつもりなので、やはりみんなの努力が報われるシーズンであってほしいのです。

日本に帰ってきた今でも、胸には何かずっと引っかかった状況ですが、鈴鹿の前まではずっと追いかける立場だったので、その「チャレンジャー」の気持ちを再度持ち、もてぎまでに充分に準備を固めて、チャンピオンを諦めずに頑張っていきたいと思います。

日本で応援してくれた皆さん、タイで暑い中熱い応援をしてくれた皆さん、本当にありがとうございました。初めての地でのレースは、色々ハプニングが起きました(笑)。また、そんなみんなの裏話は別途皆さんにレポートできたら、と思っています。

またもてぎで会いましょう。そして、最後には「チャンピオンNISMO」として、表彰台に立てるように必死になって頑張りますので、皆さん応援よろしくお願いいたします!

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