GT Introduction
GT入門コンテンツ
GT入門コンテンツ
Vol.1「GTって何?」
Vol.2「ドライバーの仕事」
Vol.3「メカニックの仕事」
Vol.4「レースカーの装備」
Vol.5「タイヤについて」
Vol.1 「GTって何?」
SUPER GTレース概要はこちら
 「自動車レース/モータースポーツ」と聞いて、一番最初に思い浮かべるものは何でしょうか?
自動車レース最高峰といえばF1? やっぱり佐藤琢磨の人気はスゴイですね。
パリ・ダカールラリー? 1月のスポーツ新聞は、確かにパリダカの話で持ちきりでした。
しかし、日本で1番身近で人気のあるレースは、「SUPER GT」と呼ばれるレースシリーズなのです。

Copyright © NISMO 
 日産、ホンダ、トヨタ、その他国内を代表する自動車メーカーが、例えばフェアレディZ、NSX、スープラといった、各メーカー自慢のGTカー/スポーツカーを使って速さ、強さを競う戦いがSUPER GTです。04年までの11年間は「全日本GT選手権(JGTC)」と呼ばれていましたが、海外でのレース開催&市場拡大を考慮して、今年からインターシリーズ(国際格式)へ衣替えしました。

 SUPER GTは「市販されている車両をベースに使う」というのがルールですが、エアロパーツや太いタイヤで、低くワイドで戦闘的なフォルムになっています。鮮やかなカラーリングを施されたレーシングカーは、太くお腹に響くような排気音(エキゾーストノート)を奏でながら、最高速はサーキットによっては300km/h近くまで達します。そんな「とにかくスゴイ」という形容詞しか思いつかないようなクルマを使って、250〜500kmもの距離を誰がいち早くゴールするかを争います。

 国内レースでは他を圧倒する程人気のあるSUPER GTは、1戦あたり平均約4万人の観客動員数を誇ります。予選日・決勝日のお昼ごろにはピットウォークと呼ばれる、レースカーやドライバー達を間近に見ることのできるイベントが行われますが、それを見ればGTのにぎやかさ、華やかさは明らか。

Copyright © NISMO 
 サーキットに足を運ぶファンも、家族連れ、カップル、友人同士など年齢層もさまざまです。もちろん、見に来る理由も「車がカッコイイから」、「ドライバーがカッコイイから」、「レースクィーンのお姉さん達が華やかだから」等さまざま。どんな理由にしろ、1度見てしまうとその迫力に圧倒され、次も生で見たくなる。それがSUPER GTの魅力です。サーキットに行かなければ、日常ではありえない音とスピードを本当に感じることはできません。

 SUPER GTは、クルマの最高出力が500馬力程度で自動車メーカー系のチームが中心の「GT500クラス」と、300馬力程度でプライベートチームが中心の「GT300クラス」という2つのクラス分けがされています。レースはまず、スタートするときのポジションを決める予選アタックから始まります。要はサーキットを1周回るタイムの速い者勝ち。短いタイムで回ってきた順に、決勝レースをスタートするときの順位を決めます。もちろん予選落ちもあり。全車の予選ポジションを決めて、レースはスタートします。

 F1などでは停止位置から一気にスタートをする「スタンディングスタート」が採用されていますが、SUPER GTの場合は参加台数が40台前後と多いことから、危険を回避するためにゆっくり走りながら隊列を組んで1周してからスタートを切る「ローリングスタート」でレースは始まります。レース距離は250〜500kmが基本ですが、多くのイベントは300km前後に設定されています。ですから、開幕戦が開催された岡山国際サーキット(1周3.703km)では、82周しました。

Copyright © NISMO 
 SUPER GTはドライバーが2人組で交代して走りますので、300kmレースの場合、レースの半ばぐらいで、ドライバーチェンジを行ないます。そして、この時給油作業も行ない、さらにほとんどの車両がタイヤ交換をします。このピットでの作業時間も勝つためには重要なポイント。1つでもミスを犯せばそれだけタイムロスになるのですから、ピットクルーも必死です。コース上でタイムを1秒縮めるのはとても大変ですが、ピット作業時間を短縮することで順位を上げることも可能になります。

 SUPER GTのもうひとつの大きな特徴は、各車両の性能の均衡化です。エンジンの排気量や搭載位置などによって、車両重量やリストリクター(エンジンへの吸気制限装置)の直径が決められ、各車両の性能に差がつかないようになっています。さらに予選や決勝で成績の良かった車両にはウェイトハンディが与えられ、次のレースは車重が重くなってしまいます。ですから速いクルマが勝ち続けることは難しいのです。ただし一定の成績以下となるとハンディキャップは降ろすことができます。

 シリーズを通して、どう戦って、どうポイントを取っていくか。チャンピオンを獲得するには、ドライバー、車両、チームの総合力が必要なのです。

GT Introduction Vol.1