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Vol.2 レース本番!

全国のNISMOパフォーマンスセンター(NPC)から選抜された3名のメカニックたちが、ニュルブルクリンク24時間レースに参戦するKONDO RACINGチームに加わり、過酷な24時間レースをサポートするNPCメカニックチャレンジ。日頃NPCでNISMOロードカーなどの整備点検に従事する彼らが、ニュルブルクリンク24時間レースの現場で実戦に臨みました。

3月に行われたSUPER GT合同テストでの研修から2カ月半。開催地となるニュルブルクリンクはドイツ中西部にある歴史的なサーキットです。ニュルブクルクリンク24時間は非常に規模の大きなレースで、2019年のエントリー台数はなんと160台。ピットは5〜6台の車両で共用、当然パドックも大混雑です。1台あたりに与えられたスペースは非常に狭く、各スタッフとも安全面には細心の注意を払って作業しなければなりません。このように普段と大きく異なる環境のなかにおいても、彼らには普段どおりの力を発揮することが求められます。

NPCスタッフに与えられた仕事はタイヤの管理と、ピットイン時には消火器を持ってタイヤ交換・給油作業をサポートすることです。KONDO RACINGはピットガレージとチームテントの間に、タイヤ保管用のスペースを確保し、彼らは、この場所で多くの仕事をこなしました。ひと口にタイヤの管理と言っても、その作業は多岐にわたります。タイヤウォーマーを使って24時間にわたり温度や空気圧を管理するだけでなく、ホイールをきちんと磨き、クラックの有無などもしっかりとチェックします。次のセッションで使用するタイヤが決まったら急いでピットへと運び込み、回収した使用済みのタイヤ・ホイールはエアを抜き、ウェイトを外し、クリーニングしたのちタイヤメーカー(YOKOHAMA)のテントに持ち込み、新しいタイヤに組み替えます。これを24時間にわたり行っていきます。一見地味な作業ではありますが、ひとつの見落としが大きなタイムロス、あるいはリタイアにもつながってしまうため、ミスのできない重要な作業です。

今年のニュルブルクリンクは、木曜日最初のセッションとなったフリープラクティスの中盤に雷雨となりましたが、それ以外で雨が落ちることはなく、天候に恵まれたレースとなりました。25番グリッドからスタートした45号車は終始安定したラップタイムを刻み、多くの車両がアクシデントやトラブルで順位を落とすなか順調にポジションを上げ、一時は総合9番手まで登り詰めることに成功。最終的に総合10位、SP9クラス9位という好結果を残してチェッカーを受けました。24時間レースの決勝日は、土曜日朝のウォームアップ走行からカウントすれば、30時間以上もスケジュールが続く過酷なものです。NPCメカニックたちは、合間合間で休息をとりながらも最後まで集中力を維持し、ミスすることなく仕事をやり切りました。KONDO RACINGの好結果を、縁の下からしっかりと支えてみせたのです。

ゴール後、握手してお互いをねぎらうチームスタッフたちに混じって、NPCメカニックたちの姿もありました。チームを率いる近藤真彦監督は、「すごく良く働いてくれたと思います」とNPCメカニックたちの仕事ぶりを称えました。「今回の経験でレースのことが好きになってくれたと思いますし、帰国して自分の仕事に戻ってからも、すごく励みになると思います。だからどんどんレースにも来てほしいですね」とコメント。なんとも言えない疲労感とともに味わう達成感と満足感に包まれ、2019年のNPCメカニックチャレンジはその幕を閉じました。

辻博美
来る前はやはり一度も来たことのない異国の地で、言葉や食事など、まったく想像もつかず不安がありました。でも来てみれば意外となんとかなり、ホッとしたのが正直なところです。チームのみなさんもフレンドリーに接してくれましたし、居心地の良い空間を作ってもらえすごく助かりました。個人的にはレースはすごく好きなのですが、実際現場に立ってみると「スタッフはこんなにも大変なのか」と身をもって実感でき勉強になりました。プロ中のプロの集団と一緒に作業をして見習う点は多く見つかりました。
現場で何をすべきか、ここに来るまで想像がつかなかったので、それが緊張感にならなかったのでしょうか? あれこれ言われていたら逆に不安で仕方なかったかもしれません。「できません」はあり得ない世界。やるしかないという気持ちで臨み、それを達成できたと思います。

佐々木隆行
同じ名前の『メカニック』という仕事ですが、ディーラーとモータースポーツ現場では、世界がまったく違いました。正直ほとんど何もできない状態で始まり、チームのお役に立てるのか、自分はどこまで勉強できるのかという不安もありましたが、非常に多くのことを勉強できたと思います。色々な作業のひとつひとつに加え、何か問題が起きたら即座にその場で解決・改善していかないといけません。最前線の現場ならではのやり方を体感しました。それに、実際に様々な危険を伴う現場であることも理解できました。これらを経験し、自分の今後の現場にも役立てていかねばならないと感じています。
また、GT-Rの聖地でもあるニュルブルクリンクに来ることができたのはとてもうれしかったですし、一生の思い出になります。

三宅惇平
今回ニュルブルクリンク24時間に参加させてもらい、想像以上にチームや周囲の皆さんの協力もあり、一丸となって取り組めたことをうれしく思っています。良いきっかけをいただいたので、これを次につなげていけるよう取り組んでいけたらと思います。日本では絶対に経験できないことばかりでしたので、クルマの楽しさをつなげて広げていけたらいいでしょうね。本物のプロがする本気のレースを感じることができ、貴重な経験ができました。
お天気も晴れたままで、チームも大きなアクシデントはなく、リタイアすることなく安全に走れました。長丁場のレースは自分自身の“耐久”でもありましたが、最後まできっちりと役目を果たすことができ、素晴らしい経験となったと思います。