土曜日にレースがある場合、早ければ水曜日からピット設営などの準備が始まります。そして木曜日は、車両整備、ピット内で車両のシステム確認(ソフトウェア設定値の確認、各センサーに故障が無く、車両全体が正常に起動することの確認、など)を行います。例えば、車両を持ち上げた状態でタイヤを空転させ、指令値通りにモーターが動いているか、といった方法で行います。そして金曜日は、いよいよコースで“少し”走ることができます。Shakedownと呼ばれる走行時間です。出力は約半分の110kwに制限され、最大6周の走行が許されています。非常に限られた時間ですので、1周ごとに何を確認するのかが、事前に細かく計画されています。例えば、走りながら”Attack Mode”の場所を確認したり、無線(ドライバー⇔ピット)の接続状態や、ドライバー操作系が意図通り動作するかを確認したりと、様々なことをこの時間で見ていきます。
そして、いよいよレース当日の土曜日です。この日は、早朝からイベントが盛りだくさんで、とても忙しい1日になります。まずは、練習走行のFP(Free Practice)1、FP2があります。この時間に初めて、200kw~250kwの出力で走行することができます。予選シミュレーション、レースシミュレーション、Attack Modeの確認などを行うのですが、事前のドライビングシミュレーターでデータ設定した条件とどれだけ合うかが重要となります。FPの最後には、スターティンググリッドからレーススタート(停止状態からの発進)の練習走行が可能です。観客として、この時間にスタート地点に行くことができれば、各チームの発進性能を目の前で見て、タイヤの滑り具合、モーターの音、変速機を持っているか、などを一度に比較することができます。
FPの後は、予選が始まるのですが、まだ12時前です。予選は4つのグループに分かれてタイムアタックをし、上位6台はSuper Poleに進むことができます。その6台がSuper Poleで再度タイムアタックし、最終的なスターティンググリッドを決定します。Super Poleでは、1台ずつ、各セクターでの通過タイムをじっくり見ることができるので、順位や経過が分かりやすいです。予選のあと、レースまで少し時間が空くので(といっても2時間半程度ですが・・・)お昼を、となるのですが、エンジニア達はレストランに行っている余裕は無く、お弁当を食べながらデータと睨めっこです。何か見落としは無いか?と目を光らせています。
そしていよいよレース本番です。FEは、F1のようなスタート前のフォーメーションラップがありません。FEは、スタート前のグリッドウォーク中、少し後方に停車しており、レーススタート直前に、タイヤをホイールスピンさせタイヤを温めながら前に出て、自分のスターティンググリッドに停止します。そして、全車のスタート準備が完了したら、いよいよスタートです。現在のシーズン5から車両の乗り換えは無く、トラブルが無ければ車がピットに戻ってくることは無いので、あとは見守ります。順位を上げれば拍手喝采!時には、他のチームからも拍手や歓声が聞こえます。16時過ぎにスタートしたレースは45分ほどで終了し、表彰式は17時から行われます。
ほぼ毎レースごとに表彰台の面子が変わることからも分かるように、各車両の性能差が拮抗しているレースイベントです。