GT Introduction
SUPER GT INTRODUCTION
Vol.1 GT500/GT300の違い
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SUPERGT 用語集
Vol.1
GT500/GT300の違い
Vol.2
ウェイトハンディとリストリクター
Vol.3
ピットワーク
Vol.4
レースカーを走らせるまで
Vol.5
チームスタッフの役割
SUPER GTでは、GT500とGT300という2つのクラス区分を設けている。これは前身のJGTC(全日本GT選手権)でも同様だが、開催初年度の93年には「GT1」と「GT2」と呼ばれていた。FIA(国際自動車連盟)のGT1とGT2規定とは異なり混乱を招くこともあったため、94年からのクラス名には“おおよそのエンジンパワー”を入れて分かりやすくした。つまりGT500クラスは500馬力程度のパワーを持った車両のクラスで、GT300クラスは300馬力程度のパワーを持った車両のクラスということだ。

そしてGT500はメーカー系チームが主であり、GT300はプライベートチームが主となる。つまりGT500は現在トヨタ、日産、ホンダの3つの自動車メーカーやその関連企業が開発・製作した車両を中心に争われている。これに対しGT300は、自動車メーカーやその関連企業が開発・製作した車両を提供する場合もあれば、独自に製作、購入した車両もあるが、基本的に自動車メーカーは一歩引いてチームのサポートに徹している。

今年のSUPER GTで、両方のクラスに参戦している車両はフェアレディZ、ホンダNSXがある。GT300クラスのNSXは以前のGT500用車両をベースにGT300規定に合わせたもので、GT300クラスのZはGT500とは全くの別物。元々は海外のGTレース用として開発された車両で、基本的なボディシルエットは市販車に近く、海外用を考慮したために左ハンドルのままとなっている。

現在の車両規定では、メインモノコックの前後はパイプフレームにすることもでき、さらにトランスミッションとディファレンシャルを一体化させる“トランスアクスル”もOK。GT500のZはもちろんそれらを採用しているが、GT300のZは両方とも採用していない。これはGT300クラスはプライベートチームが主のクラスであることから、車両価格やパーツ価格などが高価になってチームに負担をかけないようにとの配慮からだ。

では具体的にGT500とGT300の車両はどこがどう異なるのか? 規定による違いは、車重とリストリクター径。たとえば3リッター(2,997cc)ターボエンジンを搭載した車重1,100kgの車両があるとすると、GT500ではΦ29.6×2なのに対しGT300ではΦ24.3×2と直径が5mm以上も異なる。これでエンジン出力も200馬力ほど変わることになる。

次にコンプリートホイール(ホイール+タイヤ)の幅。GT500が14インチ(355.6mm)であるのに対しGT300では12インチ(304.8mm)と2インチ(50.8mm)の差がある。分かりやすく言うとGT300はGT500に比べ、5cmも細い幅のタイヤを装着しなければならない。したがってタイヤのグリップが落ちる分、GT500に比べコーナリングスピードが低下し、逆にタイヤの抵抗が落ちる分、エンジンパワーでは劣ってもGT500とストレートスピードは対等という場合もある。
GT500とGT300の車両比較(フェアレディZ 06モデル)
GT500 GT300
全 長 4625mm 4390mm
全 幅 1940mm 1915mm
ホイールベース 2650mm 2650mm
トレッド(前/後) 1640/1635mm 1580/1580mm
タイヤ 330/40-R18 280/710R18
ホイール 18×13.0J 18×11J
車両重量 1100kg 1150kg
エンジン型式 VQ30DETT VQ35DE
排気量 2997cc+ツインターボ 3498cc
リストリクター Φ29.6×2 25.7×2
最高出力 500ps以上/5600rpm 300ps以上/7600rpm
最大トルク 72kg-m/4000rpm 40kg-m/5000rpm
GT500とGT300の違いは、熱心なファン以外では分からないという場合も多いので、一瞬見ただけで区分する方法も考えられている。まずヘッドライト。GT500では透明か薄いブルーが使用されているが、GT300ではイエローにしなければならない。さらにゼッケンの地色がGT500が白なのに対しGT300は黄色。またフロントウィンドウ上に貼られるSUPER GTのウィンドウステッカー(通称: “ハチマキ”)もGT500が白なのに対し、GT300では黄色となっている。

車両以外でもGT500/300の違いがある。それはウェイトハンディ。1つのレースで増減するウェイトの重さは、GT500が+50〜-20kgなのに対し、GT300では+30〜-15kg。累計の最大ウェイトはGT500が120kg、GT300は100kgに定められている。さらにGT500では車両とタイヤの組み合わせにより+25kg〜-25kgの特別性能調整(“108%ルールの適用”)が行われるが、GT300では行われない。また、今年から導入されたエンジンの使用制限(2レースで1エンジン)の規定もGT500では開幕戦から適用されたが、GT300では第7戦もてぎからの適用となる。