
2011.8.3
Z34 ATプロジェクト第2弾 Vol.1
〜AT車両のメリット
みなさん、こんにちは。ファクトリーで開発メカニックを担当している落合です。 さて、9月のZチャレンジ参戦に向け、Z34(AT車)のシェイクダウンを行いました。


大森ファクトリーがAT仕様のフェアレディZで参戦するなんて、意外に思われている方も多いのではないでしょうか? ですが、実はAT車に乗られている方でもサーキットを走ってみたい、楽しんでみたいというZオーナーの方は多いんです。
事実、Z34に搭載されているオートマチックミッションは、パドルシフトで操作できるマニュアルモードもついていますし、シフトダウンの時にはブリッピング(エンジンの回転数を合わせるために空ぶかし)機能も付いています。また、ロックアップ機構によりアクセルワークにダイレクトに反応してくれるのでドライビングを楽しめるんです。
― ドライビングスキル向上にATはおススメ!!
2ペダルの良いところは、サーキット走行でのドライビングスキルを向上させるのに適しているところではないでしょうか。
サーキット走行で特に重要なのがコーナー前半の一連の動作なんですね。ブレーキングから荷重移動、ステアリング操作という流れです。
プロのレーシングドライバーと一般のドライバーの違いは、このコーナー前半のアプローチで大きなタイム差がつくと言っても過言ではありません。
2ペダルの場合、このアプローチではMTのようにシフト操作やヒール&トウが不要なのでステアリング操作とブレーキングに集中できるメリットがあるわけです。
フェアレディZでのスポーツ走行は非常に楽しいのですが、実は注意点もあります。
AT/MTにかかわらず電子制御されている最近の車両は、各種油水温が異常値まで上昇すると、フェイルセーフモードに落ちてしまいます。フェイルセーフモードに落ちると油水温が上がったユニットを保護するために油水温が許容範囲に下がるまで強制的にエンジンの出力を下げたり、シフトアップ・ダウンを禁止したりしているんです。
そこで油水温管理が大切となります。油水温の上がりやすさには順番があり、異常時の症状も異なります。
油水温の上がりやすい順番 | 油水温が上がった時の症状 |
---|---|
?@エンジンオイル | フェイルセーフモードに落ちる |
?Aリヤデフオイル | 連続走行を続けた場合、ハイポイドギア&ベアリングの破損に繋がる |
?Bエンジン水温 | フェイルセーフモードに落ちる |
?Cパワーステアリングオイル | オイル吹き出し→ハンドル操作が重くなる→パワステポンプの破損に繋がる |
つまり、クーリングパーツを装着し、上記油水温をきちんと管理すれば、連続したサーキット走行を楽しむ事ができるわけです。
もちろん、完全ノーマル車両であっても、連続した周回を避けてジムカーナや3〜5周程度(走り方により異なります)のサーキット走行であれば、問題なく走行することは可能なので、「ノーマル車両だからサーキットは走れない。」と諦める必要はありませんよ! 現に、大森ファクトリーのドライビングレクチャーやサーキットランにノーマル車両で参加し、一日思いっきり遊ばれているお客さまもいらっしゃいますから。
さてさて、長くなってしまったのでシェイクダウンの結果については次週、改めてレポートいたします。
お楽しみに!!
以上、落合でした。

Reported by 落合
(OMORI FACTORY)