GT500のFR形式と典型的レースカーレイアウトであるミッドシップでは、多くの条件が異なっている。スプリントレース用と耐久レース用という用途の違いもあり、両者間では特に吸排気系の性能要求が変わってくる。まず、GT500の吸気用に使っていたマグネシウム素材がLMP2では許可されないため、アルミニウムに材質置換されたが、これは同時にコストダウンにも寄与している。GT500では、マシンのフロントグリルにフレッシュエア取り入れ口を設け、エンジンの前方から導く形状となっている。これに対して、LMP2では、ルーフ上部からの空気をエンジン後方に取り入れているのが大きな違いだ。この違いに併せてECUの適合も変更している。GT500では、エンジンルームのスペースに制約があるためエアフィルターの面積が自ずと制限されてしまうが、自由度の高いLMP2では十分な面積が確保されている。エキゾーストマニホールド以降の排気系は、シャシー側が用意することになっており、ニスモとしては仕様を提示するだけだったが、GT500の排気レイアウトが排気ポートと平行にボディサイドへ排出するレイアウトをとっており、ミッドシップマウントした場合のレイアウトと似ていたため、それぞれシャシー側が、素直にニスモの要求を受け入れてくれたという利点もあった。
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