2016.10.13
「タイのレースウィークは楽しい」と日産系ドライバーから聞いていました。サーキット自体がレースをしていて楽しいだけでなく、バンコクからブリラムへの道中すべてが楽しいのだそうです。
僕はチームメイトのカズキより1日早くバンコクに到着しました。カズキは木曜日の朝5時に日本からバンコクに着くことになっていたので、僕は空港近くのホテルに泊まって、翌朝カズキやほかの日産系ドライバーと一緒に5時間かけてブリラムに行く計画でした。でも、タイでの最初の食事のあと、最悪のことが起こりました。ホテルで摂った怪しげな食事のせいで、その晩は水も食べ物も受け付けなくなってしまったのです。翌朝早くの空港での待ち合わせやワンボックスで5時間移動するなんて、僕のお腹にとってはチャレンジでした!
ブリラムに行く途中、JPは古い遺跡のあるところに立ち寄るように運転手に伝えました。僕たちは足を伸ばしたり周りの景色を見たり、たくさん写真を撮ったりしました。
サーキットでは、計画通り、コースウォークをしました。ブリラムのサーキットには来たことがなかったからです。千代も同じだったので一緒に行きました。気温は30度ぐらいだったので、チームからB-MAX特製のナトリウム入りのドリンクを飲むように言われましたが、おかげで脱水症状を起こすことなく週末を過ごすことが出来ました。
金曜日には準備万端整っていたのですが、その日の予定と言えば5時半からのドライバーブリーフィング以外は文字通り何もありませんでした。金曜日にしたのはチームミーティングだけでした。
土曜日、楽しみにしていた練習走行と予選が始まりました。まずチームミーティングでどちらのドライバーがいつ、どのタイヤで、どのセットアップを変更するかを話し合いました。練習走行はまずまずで、カズキも僕も予選についてはかなり楽観的に感じながらクルマから降りました。
予選では僕がQ2を、カズキがQ1を担当することになりました。練習走行で使ったタイヤの感触が良かったので、Q2に進めると思っていました。Q1用に僕らはソフト寄りのタイヤを選んだのですが、それは理論上は固めのタイヤよりも速いはずでした。でもレースはそんなに単純ではありません。カズキはベストを尽くし、タイムを絞り出したのですが、Q2に進める14位に0.002秒差の15位でした。幸いにも1台が4輪脱輪でベストタイム抹消となったため、僕たちがQ2に進めることになりました!まったく、モータースポーツでは2-3分の間のアップダウンが激しすぎです!
僕のラップでは、テンションを最大限まで上げて、100%でプッシュしました。ターン4では5速で230㎞/h、ニュータイヤはすごかった。僕たちはP2となり、それはいい結果なのですが、個人的にはP2を見るのはもうかなりうんざりしていました。(まだF3の結果を引きずっているのです)
ポールのタイムとは0.6秒差があり、2位以下が接戦だったことを考えれば、P2は僕たちが出来るベストだったと思います。予選の後、Q1とQ2で使ったタイヤのうち、どちらで決勝をスタートするかを決める抽選がありました。僕らはQ2で使ったハード目のタイヤが良かったのですが、ランダムに決められる抽選では、もちろんカズキの使ったソフト目のタイヤが選ばれました。。。
その日の夜、僕たちは食事をしようと日産系ドライバー全員でショッピングセンターに行きました。日本食レストランもたくさんあり、タイの人たちも日本食が好きなようでした。正直言って、僕は食べ物についてはまだ安全なものを選ぶようにしていました。理由はわかりますよね。SUPER GTのチームやドライバーのほとんどがこのショッピングセンターにいて、とても不思議に感じました。ひとつ学んだことは、もしたくさんの日本人があるレストランにいたとしたら、そこの食事はおいしいということです。日本人の食べ物に関する基準はとても高いですから。
日曜日、レース前のフリー走行とサーキットサファリはカズキが担当しました。カズキがスタートドライバーなので、そのあとすぐにレースをするカズキが路面状況や車のバランスを見るのが一番いいからです。
今回は、両親や友人がこのレースを見に来ていました。レースを見に来るのは今年初めてで、休暇も兼ねていて、レースの後は南部のKrabiというところで2-3日過ごす予定でした。サーキットサファリで、観客満載のバスがSUPER GTのレースカーが疾走する中を走る光景は、彼らにとってまったく新しいものでした!
日曜日には24,000人の観客がサーキットを訪れ、グランドスタンドは声援を送る各メーカーのファンでいっぱいでした。その様子はサッカースタジアムの雰囲気そっくりで、素晴らしいショーを見せられることをとても誇りに思いました。
カズキがレースをスタートし、すぐにリードを奪いました。ソフト目のタイヤがどのようになるのか今ひとつ心配だった僕らにとっては必要なことでした。トップに立てば、そこからはペースをコントロールできます。僕たちとGAINERのGT-Rは後続を少し引き離し始めました。僕たちは66周のレースの24周目でピットインする予定だったので、カズキはそれまでプッシュ。僕はピットで準備ができていて、B-MAXチームは素晴らしいピット作業で4輪交換をしました。ライバルたちは給油だけで、タイヤ交換なし。それで15-20秒のアドバンテージを築き、僕たちは4位でピットアウトしたのでした。ソフト目のタイヤではレース終盤にタイムが落ちてしまうので、僕らは同じタイヤを使い続けることはできませんでした。もしハード目のタイヤだったら…。
僕はプッシュして3位に上がり、18号車の後ろで抜きあぐねていました。数周後、18号車と1号車の接触を何とか避けましたが、2台はダメージを受けてリタイアしてしまいました。残り10周、僕は全力でトップを行く25号車に追いつこうとマックスのアタックをしました。燃料も軽くなり、タイヤのグリップもよく、トップのすぐ後ろまで迫りましたが、残念なことにレースは69周ではなく66周で、トップから1.1秒差でゴールしました。
僕たち二人ともレースの結果にがっかりしてしまったことを隠すつもりはありません。僕たちはもうあと少しのところまで来ていましたし、GT-Rのタイでの連勝記録が途切れてしまったからです。(ブリラムでは過去2年間で2連勝)
ポジティブな点もありました。僕たちは最速でしたし、今シーズンはポイント獲得率100%を保っています。両親も7200㎞も旅してきて、僕がポディウムに立つ姿を見ることが出来たので、よかったです。
最終戦は4週間後のもてぎで、250㎞レースが2戦あります。シリーズポイントではトップと5ポイント差の2位ですが、NISMO、B-MAX、カズキ、そして僕は、“台所の流しに至るまであらゆるものを注ぎこむ”ということわざの通り、勝利に向けてできる限りプッシュします。
もう2位にはうんざりです(笑) ;)
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