2016.07.26
菅生!
過去のレース映像を見て、数週間前に実際に公式テストで走ってからずっと楽しみにしていました。短く、ツイスティで、狭いランオフエリアと特徴的な最終コーナーを持つサーキットです。僕とカズキは新幹線で仙台に向かいました。仙台は日本に来てから大好きになった街で、若い人がたくさんいるし、駅ではポケモンGOをやっている人が大勢いました!
本格的な走行は土曜日の朝から始まりました。練習走行が1回しかないので、走行の時間が少ないな、とその時は思いました。前回のSUPER GTレースからだいぶ時間が開いていて、その間に出たF3のレースでは予選の前に練習走行の時間がたくさんあったため、それに慣れてしまっていました。練習走行はエンジンの電気系トラブルでスムーズには行きませんでした。チームはセッション残り15分で修理を完了し、僕はレースで使う仕様のタイヤでコースに出ました。クルマのハンドリングやバランスはとてもよく、5ラップ走って12番手のタイムを出しました。でも、42㎏のハンディウェイトを積む僕らはGT300で最重量で、富士の真逆の菅生では苦労するのは目に見えていました。
練習走行の後、僕はレースとは別に公式テストが事前にあってよかったと思いました。予選の前に5周しかできないのは、初めてのサーキットへのアプローチとしてはいい方法ではありません。チームミーティングで、カズキがQ1に、僕がQ2に行くことが決まりました。Q2には上位14台が進み、ポールポジションを争うのです。
練習走行と予選の間には、少しリラックスする時間や、パドックにいるファンに会っていろんなものにサインする時間がありました。僕はサインをするのが結構好きで、特にそれがファンの人が撮った写真だったりすると、時々すごく面白い写真を見られます。
予選ではカズキがプッシュしたのですが、Q2には届きませんでした。クルマのバランスはいいのですが、フロントもリアもグリップが足りませんでした。僕らがレース向けに選んだタイヤはもっと暑いコンディション用だったのですが、路面温度は28度以上には一度もなりませんでした。「別のタイヤを選べば?」というかもしれませんが、レース用のタイヤは1週間以上も前に決めなければいけないのです。でも、これが後で僕たちに有利に働くのです。
土曜日の夜は、S Roadのドライバーやチームの人たちと食事をしに、ウェールズにはないレストランに行きました。「舌」(牛タン)の専門店です!もし去年、夕食に牛タンを勧められたら、「いやぁ、遠慮するよ」と答えたことでしょう。でも牛タンは本当においしくて、みんなにおススメします。ランプステーキに似た味わいです。
日曜日の朝はとても早く仙台のホテルを出ました。僕らが泊まったホテルにはすごい駐車場があり、そこでは車を機械式の板の上に乗せると、縦に駐車スペースを割り振るのです。すごく未来的です!
カズキがレースをスタートすることになっていたので、朝のウォームアップではカズキが新しいブレーキパッドとディスクの焼き入れをしました。菅生はブレーキにきつく、特に1コーナーと下り坂の9コーナーが厳しいのです。
ウォームアップの後、スポンサーさんへの挨拶やピットウォーク対応、エンジニアとレース戦略のミーティングをしました。そのあと、僕はカズキが見つけた静かな場所でこっそり昼寝をしてました!約1時間眠って目が覚めると、クルマはすでにグリッドで、レース開始30分前でした。
カズキはいいスタートを切り、早いタイミングで21位から15位に上がってポルシェの後ろに迫りました。菅生はコースが狭いので抜くのは本当に難しいのです。でもSUPER GTを面白くしているのは、速いGT500車両が僕たちGT300車両を周回遅れにして抜き去ることです。その混乱から、順位を上げることも下げることも簡単なのです。カズキはこれをうまく利用して、12位で僕に交代しました。B-MAXチームは最高のタイヤ交換と給油を行ってくれたので、僕たちはピットストップだけで2つ順位を上げました!
僕は#88ランボルギーニと#4メルセデスとのバトルを楽しみました。この2台のドライバーは僕がYouTubeでよく見ていた日本車紹介ビデオに出ていた織戸学さんと谷口信輝さんだったので最高でした。残り10周の時点で、僕は自分が5位なのがわかりました。そして、前方には青いスバルBRZが見えました。クルマに乗っている間ずっとピットとの無線が使えなかったのですが、BRZがここ菅生では速いのは知っていたので、表彰台に近いのだろうと思いました。GT-Rは燃料が少なくなったのと、僕らの選んだタイヤが効果を発揮し、調子を上げてきていました。タイヤはとても持ちがよく、ヨコハマタイヤのお手柄です。この時、僕はアタックモードで、先行車との差を詰めながら、レースを楽しんでいました。菅生の特徴は、長い下り坂とピット前の直線に続く上り坂の最終コーナーです。このコーナーの途中には時速125マイル(200㎞)でクルマの床下が当たる箇所があり、ドキドキするのですが、すごく気分が高揚するし、素晴らしいコーナーです。
4位のクルマを目の前にして、あと6周というところでレースは残念ながら赤旗となりました。1台の車両が最終コーナーのウォールに激しくぶつかり、車体の破片やタイヤバリアがコース上に飛んでしまったからです。ドライバーは自分で降りて無事でしたが、レース主催者はそこでレース終了という判断を下しました。
それにしても5位なんて!土曜日の朝、もし誰かが5位をオファーしてくれたら、僕たちはありがたく両手で受け取って遠くに逃げてしまったことでしょう。レースの模様は全部NISMO.TVでカバーされているので、東京に戻って見るのが楽しみです。GT500クラスでは、フォーラムエンジニアリングADVAN GT-Rが優勝し、素晴らしい一日になりました。
僕たちは選手権ポイント2位となりました。次戦は富士ですが、僕たちがこの前そこでどんな結果だったかみなさんご存知ですよね ;)
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