海外モータースポーツ活動 DOMESTIC MOTORSPORTS

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ニュルブルクリンク24時間レースとパイクスピークヒルクライム 海外で活躍したスカイラインGT-R

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 1989年8月にデビューしたR32型スカイラインGT-Rは数々のモータースポーツカテゴリで活躍した。国内のグループAレースやN1耐久レースでの活躍や、海外でもベルギーのスパ24時間レースにおいてグループAとグループN仕様がそれぞれ優勝した。これらはNISMOが直接関与した活動といえるものだった。

 そのほか、マカオのギアレースにも、長谷見昌弘がR32スカイラインGT-Rを持ち込み、1990年にブッチギリの総合優勝を果たした。翌1991年には異例の140㎏というウエイトハンディを課せられた結果、4位でフィニッシュ。R32 GT-Rのあまりに強烈なパフォーマンスを印象付けたレースであった。

 また南半球のオーストラリアでもR32 GT-R旋風が吹き荒れ、1991年のバサースト1000㎞レースで総合優勝し、同年の豪州ツーリングカー選手権のシリーズタイトルも獲得。さらに翌1992年もバサーストで総合優勝を飾り、同じく豪州ツーリングカー選手権のタイトルも獲得し2連覇を達成。このようにR32 GT-Rは世界のモータースポーツシーンで大活躍していたのだ。

 海外でも活躍したスカイラインGT-Rであるが、当時、NISMOが様々な形で支援したニュルブルクリンク24時間レースとパイクスピークヒルクライムもあった。

ニュルブルクリンク24時間レース

 多くの日本メーカーのクルマも参戦するニュルブルクリンク24時間レース。1991年のニュル24時間レースでは、前年のスパ24時間レースのほか国内のN1耐久レースでも活躍する木下隆之と、ショイスマン、ウェーバーの3人で、イギリスのヤンスピードから参戦したゼクセル・スカイラインをドライブ。総合16位、グループNクラス優勝を遂げている。ちなみに、同年8月のスパ24時間レースでもK.オドール/木下隆之/D.ショイスマンのドライブするゼクセル・スカイラインがグループNクラスで優勝をしている。

 日本でニュル24時間レースが注目されるようになったのは、ファルケン・モータースポーツが1999年から参戦するようになってから。1999年はR33 GT-Rで、2001年から2004年まではR34 GT-Rで参戦。最終年の2004年はクラス優勝を遂げた。この間、NISMOが技術支援(主にエンジン)を行なった。

パイクスピークヒルクライム

 アメリカ大陸で行われるパイクスピークスヒルクライムは、インディ500マイルと肩を並べ80年以上続く、アメリカで最も伝統のあるモータースポーツである。競技は、ヒルクライムの名の通り、上り区間のみのタイム計測。ただ、このパイクスピークヒルクライムの特徴は標高が高いことだ。スタート地点の標高は約2800m、ゴール地点はなんと4300mである。走行距離は約20㎞でその間、約150以上のコーナーが挑戦者を迎える。さらに、上部はガードレールもないためコースアウトすれば急斜面を転げ落ちる危険なコースでもある。

 競技は約1週間をかけてフルコースを走るような内容で、ドライバーが高い標高に慣れる意味合いもあるようだ。参戦した日本人ドライバーによると、酸素が薄いためかコーナーを覚えられないという。またマシンのエンジンも同様の理由で標高が高くなるにつれ大幅にパワーダウンする。

 この伝統的なヒルクライムレースに、1992年、全日本ダートトライアルでも活躍する亀山晃がR32 GT-Rで挑戦した。亀山はその前年にもN14型パルサーGTI-Rで挑戦。標高差によるパワーダウンに悩まされていた。

 ちなみにこの当時は、全コースがグラベルロードだった。未舗装とはいえ、かなり引き締まったグラベルロードで、国内のダートトライアルコースとは異なる路面だった。

 1992年、R32 GT-Rで参戦するにあたり、NISMOはエンジンおよび4WDシステムなどの技術的な支援を行なった。1993年には、参加したオープンクラスで、それまでのコースレコードを大幅に更新するタイムでクラス優勝を飾った。

 1996年にはマシンをR33 GT-RベースにしたNISMO 400Rにスイッチ。排気量も2.8ℓとなり、高い標高に合わせた専用ターボチャージャーなど高地セッティングを日産工機がチューニングを行なった結果、700ps以上のパワーを獲得した。また4WDシステムもNISMOが開発した専用システムを搭載しトラクション性能の向上をはかった。あまりのパワーにフロントのデファレンシャルがゴール直前で壊れ、コースレコードの更新はならなかったもののクラス優勝は果たした。さらに同じマシンで1998年にもクラス優勝を遂げた。この亀山がドライブしたパイクスピーク仕様のNISMO 400Rは、2024年のNISMO FESTIVALにも展示され好評を博した。

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