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ドライビングスクールの歴史

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 現在、NISMOが一般のドライバーを対象に開催するドライビングスクール「NISMOドライビングアカデミー」(NDA)は、国内各地のサーキットを舞台に、ワークスドライバーから直接レッスンを受けられるとあって、人気のドライビングスクールだ。

 NISMOが運営するドライビングスクールの歴史は古く、1960年代からはじまった旧大森ワークス、すなわち日産自動車の宣伝三課が主催した「日産レーシングスクール」に端を発している。この「レーシングスクール」は本格的にレーシングドライバーを目指す日産車ユーザーに向けたスクールとして人気を集めていた。講師陣には日産ワークスドライバーのそうそうたるメンバーが集い、レースにおけるドライビングテクニックの習熟はもちろん、マナーなども徹底的にレクチャーした。

 1984年に、大森ワークスと追浜ワークスを統合する形で生まれたNISMOにも、この伝統は引き継がれた。1986年1月にはプレス向けの特別レーシングスクールを筑波サーキットで開講し、日産レーシングスクールを広く世間にアピールした。その後、3月には富士スピードウェイでNISMOとしてはじめてのレーシングスクールを開催した。

 このスクールでは座学と実技が講習内容となっており、とりわけワークスドライバーの横に乗る同乗走行はドライビングテクニックを盗む絶好の機会とあって人気であった。そして、同乗走行時に講師から受けたアドバイスや課題をその後の走行練習で習熟するという内容だった。

 こうした講義内容に合わせてスクールカーも準備されていた。1990年代には、日産オリジナルのフューミュラカー、日産ザウルスを使ったより本格的にレーシングドライバーを目指す人を対象にテクニカルクラスも開催。このため、NISMOには専属のスタッフが配置され、スクールカーの製作からメンテナンス、そしてスクール当日のメカニックとして活動していた。

 さらに年に一度の検定会に合格するとプロドライバーへの道も開かれていた。この検定会は厳しいもので、講師を務めたワークスドライバーのほか、レースエンジニアも受講生の走りをチェック、合格者ゼロの年もあった。こうした日産レーシングスクールを卒業し、検定会に見事合格した選手の中には、現在もトップドライバーとして活躍する人材も多い。

その後、北海道の十勝インターナショナルスピードウェイ(現・十勝スピードウェイ)に舞台を移し、フォーミュラカーであるザウルスJrを使った本格的なレーシングスクールは2000年代まで開催されていた。また、2003年からはじまったK12型マーチによるワンメイクレース「マーチカップレース」の参加者を対象にした専用レーシングスクールも開催していた。

 一方、一般ユーザーもサーキット走行を楽しむようになった1990年代から、テクニカルクラスに加えて、一般ユーザーを対象に自分の愛車で参加できるスポーツクラスも開催するようになった。

 こうした日産レーシングスクールのDNAは、現在NISMOが開催する「NISMOドライビングアカデミー」(NDA)にも受け継がれている。講師陣にはSUPER GTなどで活躍する現役のNISMOワークスドライバーが担当するという贅沢なプログラムだ。

 この21世紀の日産レーシングスクールともいえる「NISMOドライビングアカデミー」(NDA)は、サーキット走行をはじめて楽しむような一般ユーザーを対象としている点がかつてとは異なる、いわば、より広く門戸を開けたドライビングスクールとして、自分の愛車の性能を知ると共に、クルマを運転する楽しみ、サーキット走行の楽しさなどを啓蒙している。

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