Vol.6  2011.8.23

決勝日の朝のチェック走行では、かなりマシンも良くなり、初めてドライバーからポジティブなコメントが出ました。しかし、レース前のウォーミングアップで、私たちにまた試練がやってきました。まず、ベンちゃんがマシンに異常を感じたので、問題が起こりそうな部分に関しては全てチェックをし、メンテナンスをしなおしました。グリッドでもまた作業が出来るので、それに関しては焦る必要はありませんでしたが、ピット出口オープンになった途端、燃料系のトラブルが発生しました。ピットオープンはたったの3分。ピットスタートしなくてはならなかった2009年のセパンの悪夢が脳裏に浮かんで、自分の心拍数が高くなっているのがよく分かりました。しかし、それはメカニックの素早い作業により、すぐ対応することはできましたが、ポールポジションの46号車とほぼ同時にピットアウトをするという、ギリギリのピットアウトとなりました。
今回はピットからグリッドまでの距離が、とても遠く感じました。グリッドに辿り着くだけでも、本当にストレスを感じました・・・。

しかし、グリッドではみんな冷静に作業をしていました。
そしてレース直前、雨が弱くなるという予報だったので、吉田エンジニアはベンちゃんに浅溝タイヤで行くか聞きました。するとベンちゃんは「やってみよう」と答えました。その声は静かでしたが、私にはとても心強い言葉に聞こえたし、絶対にベンちゃんなら大丈夫だと思いました。
その作戦は見事的中。見る見るうちにベンちゃんのタイムはあがっていき、最終的には他とは3-4秒差で走ることができました。そんな中、浅溝タイヤに変更するために早めにピットインするマシンも多かったですが、はじめにマージンを稼げた23号車は有利に見えました。燃料系のトラブルもあり、ベンちゃんはとてもいいペースで走っていましたが、少し早めにピットインせざるを得ませんでした。ただ、エンジニアの無線がうまくベンちゃんに聞こえないという問題が起き、ピットインの指示よりも2ラップ多くベンちゃんは走ることになりました。後から聞くと、かなりガソリンはきつかったようで、あと1ラップ多く走っていたらマシンが止まっていたかもしれないとのことでした。