Vol.1  2011.5.2

コースアウトをするマシンが多い中、後ろに迫る6号車がどのペースで走っているか分からず、マージンを縮められはしましたが、セクターごとに6号車のタイムを伝え、6号車と同じペースで走ることができるよう、エンジニアは常にドライバーに情報を伝えていました。それからは6号車と約5秒差を保って走っていました。無線ではその情報のやり取りと「みんなコースアウトしてるよ!本当に危ない!」と本山さんの声。本当に生きた心地がしませんでした・・・。

すると、ラスト8周で「赤旗!」と無線が入りました。私はそのとき、N-FORCEにいたのですが、一瞬どうなるのか分からず急いでPITに戻りました。しばらくすると「レース終了!」と無線が入り、その瞬間NISMOのピットが歓声でいっぱいになりました。

昨年、NISMOとしては一度も優勝をすることが出来ませんでした。ミシュランさんと一緒に苦労をしながら開発をしてきた1年間でしたし、勝てたはずのレースで勝てないこともありました。特に第5戦菅生においては、「キルスイッチ事件」が起きるまでは、本当に完璧なレースウィークでした。それでも、勝てませんでした。それは私たちのミスが原因ではありませんでしたが、運も実力のうち、ではありませんが、自分たちに何かが足りないと思えてなりませんでした。