
スタート前、本山さんはベンちゃんに「雨がこれからどんどん降るから、絶対に大丈夫だよ」と声をかけました。ベンちゃんは「BSのWetで最近走ってないから・・・」と少し自信がなさそうでしたが、ベンちゃんが雨で一番速いのは誰もが知っていること。だから、私たちに不安はありませんでした。
その本山さんの予想は見事的中。アクシデントなどでピットインするマシンが続出する中、17周目にはベンちゃんのクレバーな走りでトップに躍り出ました。ベンちゃんが富士で強さを見せつけてきたSC(6号車)をオーバーテイクしたときは、本当に鳥肌が立ちました。
初めから、どんなに天候が変わろうとも一度のピットインで済むよう、できる限りベンちゃんをMAXの周回数まで引っ張り、本山さんにドライバーチェンジをするときには、そのときの天候状況などでタイヤをチョイスし、最後22周を走りきる作戦でした。ウェザーニュースさんと協力しながら、吉田エンジニアは常に予測される雨量など細かい情報をドライバーに入れ、ドライバーも無理をしないペースを保つことができました。
ベンちゃんはトップのまま44周を走りきりピットイン。タイヤが最後まで持つと判断をし、タイヤ交換なしの作戦をとりました。本山さんに変わってからも雨量が増え、ドライバーにとっては視界が最悪で、本山さん曰く、たとえ1ミリでもアクセルを踏み過ぎるとコースアウトをしてしまいそうな状態だったそうです。