同じくニスモ・パワートレイン開発部の進士守は、「NISMOエンジンを採用しているチームの総合力というのが、やっぱり好成績を求めるには欠かせません。全ドライバーが安定したラップタイムで走れるとか、トラブル察知能力、アクシデント回避能力が高いということがチームの総合力であり、耐久レースではそれが不可欠です。予選タイムが少し速いことなどは、そこまで重要ではないんですね。そういう意味で、良いチームとパートナーシップが組めたということは良かったなと思います。欧州日産が支援するシグナテックチームも2位に入り、話題を拡大しましたよね。私たちは、これで第一の目標を達成したので、次のステップに移る必要があります。とは言っても、性能面でのバージョンアップはあまり考えていないんです。常にBOPで絶対的なパフォーマンスは制限されてしまいますから。それよりも安定した品質を維持すること。こちらの方が重要だと思っています。特に、NISMOエンジンユーザーが現状より増えればなおのことです」と笑う。

 ル・マンでの結果によって、欧米の有力チームからニスモへの問い合わせが増えたと言う。これら日産・ニスモがLMP2で果たす役割に加え、ポルシェやジャガーがLMP1に復帰する噂や、FIA世界選手権化の動きもあり、プロトタイプカーレースが再び世界の耳目を集めつつあるのは間違いない。
2011年LMP2仕様日産VK45エンジン 主要諸元
エンジン型式V8自然吸気エンジン
排気量4,494cc
ボア X ストローク93.0mm × 82.7mm
最大馬力450ps以上(エアリストリクター付)
最大トルク約520N-m
エンジンマウントセミストレスマウント方式
シリンダーブロック量産品改
シリンダーヘッド量産品改
クランクシャフト削り出し4カウンタータイプ
コンロッド鍛造チタニウム I断面形状
ピストン鍛造アルミニウム ボックス型
バルブトレイン直動タイプ&スチール合金バルブ
カムドライブギア&チェーン駆動
吸気システムマルチバタフライ式
排気システム4-2-1型(サイレンサー付)
潤滑方式ドライサンプ方式
冷却方式水冷方式
燃料噴射装置マルチポートツインインジェクター
点火装置日産ダイレクトイグニッション
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