SUPER GT第8戦の決勝レース日となった10月15日(日)、オートポリス国際レーシングコースのある大分県日田市上空は爽やかな秋晴れが広がった。30分間のフリー走行が開始された朝9時の時点で気温は16度。路面温度もまだ18度と低めだが、好天が予測されている午後には気温・路面温度共に前日並みに上がるだろう。
決勝レースを想定したフリー走行は、各車燃料タンクをフルにしてこのセッションをスタートする。GT300/GT500両クラスのマシンが同時に走行するため、両クラスのスピード差を実感しながら抜いたり抜かせたりのタイミングを計るチャンスでもある。各車ともこの時間枠をフルに使いたいため、我先にと競ってコースに出て行く。しかし、マシンがピットロードに入れる時間は規定されているので、セッション開始時の混乱は避けられるようになっている。ところが、この日はアクシデントが発生してしまった。
コースオープン2分前となると、ピットエンドに近い順に「イエローハットYMSトミカZ」(#3ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)、「XANAVI NISMO Z」(#23松田次生)、「MOTUL AUTECH Z」(#22ミハエル・クルム)、「カルソニック インパルZ」(#12星野一樹)、そして「WOODONE ADVAN KONDO Z」(#24柳田真孝)が連なってピットレーンに並ぶことになっていた。そして、各車がピットレーンに移動しようとしたところ、後方からピットエンドを目指して走って来たマシンと#24 Zが接触。#24 Zはノーズ右側部分を破損し、修理のためコースインを中断した。柳田は、「エンジニアが時間をカウントダウンして、その指示でピットレーンに入ることになっているので、僕らは時間をきちんと守っています。こんなところで接触してクルマを壊すなんて」と憤慨していた。破損は小規模だったので、決勝レースのスタートまでには修理を終えることができそうだ。
フリー走行では、惜しくもポールポジションは逃したものの優勝を目指している#23 Zの安定して速いペースが目立った。決勝レースでスタートを担当する予定の松田次生がこのセッションの前半を走行。満タンスタートながら序盤から1分44秒台を連発し、本山に交代するまでリズミカルに周回を重ねた。マシンとドライバーのコンビネーションの良さをアピールするかのように、交代した本山は直ぐにベストラップを更新し、松田同様に安定して速いラップタイムで周回した。飯嶋監督は、「#23は、準備完了です。非常に安定しています。トラクションも効いているし、タイヤをコントロールしながらでもクリアラップなら1分43秒台で無理なく走れそう。約束通り優勝を果たします」と力強く語っていた。一方、「MOTUL AUTECH Z」(#22)は金曜日からマシンのセットアップを担当して来たクルムがセッションをスタート。こちらは90kgのハンディウェイトを積んでいるため、#23 Zよりもさらにタイヤに優しい走りが必要となる。後半に交代したリチャード・ライアンも、タイヤをいたわりながら慎重にレースラップの走り方を研究していた。飯嶋監督は、「#22もマシンのバランスは問題ないです。ただ、重いので各スティントの後半はグリップが低下するのではないかと気がかりでしたが、ドライバーがふたりともクレバーなので心配不要でしょう」
#23 Z 松田次生
「フリー走行は、昨日使ったユーズドタイヤを履いて満タンでスタートしました。まだ路面温度が上がりきっていない状態でも(マシンは)悪くはないですね。ロングを走っていくとマシンの挙動が少しずつ変わって行くものですが、許容範囲の中にあると思います。ここはタイヤマネジメントが大事なので、金曜日の練習走行からそればかりをイメージして走って来ました。スタートを担当する自分のできることとしては、ポジションをひとつでも上げて本山さんにクルマを渡すことです。これが実行できるように頑張ります」