今年のSUPER GTはツインリンクもてぎでの第7戦を迎え、いよいよシーズン終盤に入った。この時期になると、トップチームには重いハンディウェイトが積まれていたり、前戦の結果により一部のウェイトを降ろしたりと、マシンのパフォーマンスはなんらかの調整が入っている。今年から始まったシャシー+タイヤの組み合わせによる一律性能調整もあり、マシンの戦闘力は外見からは判断しづらくなっている。ブリヂストンタイヤを装着するZ勢は、前戦の鈴鹿1000kmレースで1-2フィニッシュしたため、このレースは一律25kgの重量増が課せられている。個別のハンディウェイトは、前回優勝の「カルソニック インパルZ」(#12)が80kg、同2位の「MOTUL AUTECH Z」(#22)は累積110kg、そして「XANAVI NISMO Z」(#23)は30kg。BS勢では「イエローハットYMSトミカZ」(#3)はゼロで、唯一横浜タイヤを装着する「WOODONE ADVAN Z」はシャシー+タイヤの性能調整も対象外なので、Z勢では最も重量が軽い。
曇天のもと9月9日に行われた公式予選は、気温が高く湿度も高かったため、じっとりとした重い空気の中行われた。ニスモでは厳しい条件の中、スーパーラップ進出をかけてタイムアタックに臨んだ。#23 Zは本山哲が、#22 Zはミハエル・クルムがアタックを担当した。2台はGT500専有時間が始まるや否や積極的にコースを攻めて早々にベストタイムを出し、続いて残る1セットのフレッシュタイヤも使って再度アタックを試みた。しかし、予選が終わってみると、#23 Zは0.2秒差の総合11位、#22 Zは同13位となり、スーパーラップ進出を逃した。重いシャシーに苦しむ#12 Zも総合15位に終わった。
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#24 Zは、前日の練習走行に好タイムを連発していたため、予選でも上位ポジションの確保が期待された。腰痛手術のためこのレースから荒聖治にドライバーズシートを譲ることとなったエリック・コマスに替わり、柳田真孝がアタックを担当。8番手タイムを出してスーパーラップ進出を確定した。#3 Zは、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラがタイムアタックに挑み、#24 Zに続く9番手でスーパーラップに進むこととなった。
ニスモ 飯嶋嘉隆監督
「このコースは極端なストップ&ゴー型サーキットであり、どちらかというとZが得意なコースではありません。そして今回はウェイトも重いので、最初から厳しい予選になると予測していました。通常の予選ではフレッシュタイヤを2セット使い切ってしまうことはまずないのですが、今回は2台とも使いました。そうしてなんとかスーパーラップに出たかったのですが、#23は僅かの差で逃してしまいました。タイムは出ていないのですが、ドライバー達はギリギリのアタックを見せてくれたし、シャシーのバランスは悪くないようです。明日も厳しいレースになると思いますし、抜き場が少ないコースなので耐える走りの時間帯が多くなると思います。とはいえ、次のオートポリスに良い条件で臨み、そして最終戦の富士までチャンピオン争いに残るためにも良い位置でレースを終えたいと思います」
KONDO RACING近藤真彦監督
「今回のZのパフォーマンスと進歩した横浜タイヤの組み合わせなら、もう2つ3つ上のポジションでないといけないと思います。Z勢のトップで甘んじるのではなく、NSXやSC430の前に出ることが期待されているのです。なので、スーパーラップで失地を回復しろと、柳田にはプレッシャーをかけています。厳しいオーダーだと思いますが、エリック(コマス)が不在のため巡って来たチャンスを活かしてほしいです。また、横浜タイヤは毎回著しい進歩を遂げています。もし今日のスーパーラップが雨でも、どんと来いっと言えるほど良いタイヤを作ってくれました」