本年よりSUPER GTシリーズに組み込まれることになった鈴鹿1000kmレースは、今年で第35回を数える鈴鹿サーキットの伝統的な真夏の祭典として知られている。8月中下旬の伊勢湾地区は残暑が厳しく、マシンにとってもチームクルーやドライバーにとってもタフなレースとなる。
18日金曜日に行われた公式練習は台風10号の影響で不安定な天気となり、どのチームもドライコンディションでのセットアップ走行ができていなかった。そして台風が日本の北西に抜けて行った土曜日の公式予選日は、曇り空ながらドライコンディションで始まった。この日朝10時から通常通り1時間の公式予選がスタート。GT300の専有走行を経てGT500のタイムアタックとなった。日産勢は今回、体力の消耗が激しい真夏の長耐久レースということで、各車3人目のドライバーをエントリーしている。1回目の予選がドライで行われるとは言え、午後に予定されている2回目の予選までコンディションが維持される保証はないため、Z勢にとってこの予選は、スーパーラップに残るためにトップ10に入ること、そしてサードドライバーのクォリファイを済ませるというハードワークをこなすこととなった。
金曜日の練習走行でも好タイムを続出していた「カルソニック インパルZ」(#12、ブノワ・トレルイエ、星野一樹、ジェレミー・デュフォア、ハンディウェイト10kg)は、トレルイエによるタイムアタックで2番手タイムを記録。また、80kgのウェイトハンディを負う「MOTUL AUTECH Z」(#22、ミハエル・クルム、リチャード・ライアン、ファビオ・カルボーン)は、
エースドライバーのクルムが渾身のアタックで5番手タイムを出した。「イエローハットYMSトミカZ」(#3、横溝直輝、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ、ダレン・マニング、ハンディウェイト10kg)はオリベイラが8番手、「WOODONE ADVAN KONDO Z」(#24、エリック・コマス、柳田真孝、荒聖治、ハンディなし)もコマスのドライブで9番手に入ってスーパーラップ進出権を確保。「XANAVI NISMO Z」(#23、ハンディ50kg)は、本山哲がアタック中に他の車両にひっかかりタイムロスするも10番手に滑り込み、日産Z勢は全車がスーパーラップでのグリッド決定バトルに参加することとなった。また、赤旗で予選が何度も中断される中、各チームともレギュラードライバーコンビとサードドライバーまでが全員出走し、時間切れで規定周回がクリアできなかったマニング以外の14名が基準タイム以上で走ってクォリファイを済ませた。マニングは2回目の予選での通過を目指す。
一時スーパーラップ進出が危ぶまれた#23であったが、日本一速い男・本山哲、先日行われたフォーミュラニッポン・オートポリス戦で優勝した地元三重県出身の松田次生、F-1と世界の走りを経験した井出有治の3名は文字通りドリームトリオ。パドックでもピット裏でも常にファンに囲まれている。スーパーラップ進出を決めると、駆けつけた熱烈なファン達も安堵の表情を見せていた。
ニスモ 飯嶋嘉隆監督
「まずはニスモの2台については、サードドライバーまで全員クォリファイを終了したし、スーパーラップも走れることになったので合格でしょう。#22はマイケル(クルム)とリチャードのレギュラーがやる気満々で、特に今日はマイケルが良い仕事をしてくれました。彼は単にモチベーションが高いだけでなく、テストの時からデータを良く読んでエンジニアとも積極的にやりとりしてセットアップに熱心です。それが良い結果を生んでいると思います。本山については、昨日ドライでの走行がほとんどなくアンダーステアを残したまま予選に向かって行きました。他車に詰まってアタックラップにロスしたりと不運もありましたが、スーパーラップに行けることになってホッとしています。今回は、ドクターやマッサージャーなども控えており、ドライバーの充実と疲労からの回復対策のほか、耐久レースを戦うためのハード面の対策、もちろんチームワークやタクティクスも万端の準備を整えて来ました。この3つではどのチームにも負けないでしょう。レースをお楽しみに」