SUPER GT第5戦SUGOラウンドは、雨の予選で公式スケジュールが始まった。今年は停滞する低気圧によって、例年より梅雨明けが遅れている。7月22日(土)午前11時から開始した公式予選は、朝から降り続ける雨によりウェット宣言が出された。さらにサーキットを霧が覆い、場所によっては視界を遮るほどであった。
走るレースカーによって水しぶきが高く上がるなど、コースは所によって雨水が溜まりやすくなっていた。このため深溝のヘビーレイン用タイヤをセレクトしたチームもあったほど。また、GT300の専有走行20分間のうちに赤旗中断が2回あり、タイムスケジュールは大幅に乱れていった。
そして、11時20分から予定されていたGT500の専有による予選走行時間が始まったのは約40分後。しかし、走行が始まってすぐに再び赤旗が提示されて中断となった。「MOTUL AUTECH Z」(#22)は、中断前に1周した際に電気系にトラブルが発生。ピットレーンで修復を行い、このため10分ほどタイムロスした。前回のマレーシアで2位に入った#22 Zは、今回60kgのハンディウェイトを搭載している。コースに戻ったアタッカーのミハエル・クルムは、早々にベストタイムを記録。8番手のタイムでスーパーラップ進出を決めた。一方、本山哲がタイムアタックを担当する予定となっていた「XANAVI NISMO Z」(#23、ハンディウェイト20kg)は、ヘビーレインタイヤを装着してコースイン。しかし、コースコンディションにマッチせずピットインし、インターミディエイトタイヤに交換した。松田次生にドライバーチェンジしたところ再び赤旗で予選は中断。飯嶋監督はここで作戦を変更し、急きょ松田がタイムアタックすることとなった。松田は期待に応え、再開後3周目にアタックを仕掛けて4番手タイムを記録した。
「カルソニックインパルZ」(#12、ハンディ20kg)は、通常通りブノワ・トレルイエによるタイムアタックで2番手タイムを記録した。また、「イエローハットYMSトミカZ」(#3)は、アタック担当のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが6番手のタイムを出し、スーパーラップそして決勝レースに期待がかかったが、横溝直輝にドライバー交代したあとコース上でクラッシュ。左側リアセクションを破損し自走不能となった。マシンは予選セッション後ピットに戻ったが、ダメージは予想以上に深刻でスーパーラップまでに修復することは困難な状況であった。また、横溝が予選の規定周回数を走りきれていないため、#3 Zのタイムは無効となり予選6位の記録も抹消されることとなった。これによって#22 Zは7位に繰り上がり、スーパーラップでは4番手スタートすることとなった。
「WOODONE ADVAN KONDO Z」(#24)は、エリック・コマスが急性腰痛のため出場できず、直前になって登録した荒聖治がピンチヒッターとしての参戦となった。金曜の練習走行から柳田真孝が中心となってセットアップし、予選タイムアタックも担当。13番手で予選を終了した。
ニスモ 飯嶋嘉隆監督
「#22 Zは、最初電気系トラブルで走れずファンの皆さんをやきもきさせてしまい申し訳ありませんでした。修復は成功し、調子は万全に戻りました。アタックラップでは他車にひっかかる場面があってタイムロスしています。それでも60kgのハンディを感じさせない走りができたのは、マシンのバランスが良いからです。リチャードのタイムもほぼマイケルのベストに匹敵するものだったことがそれを証明しています。#23 Zは、本山の時にタイヤとコースコンディションがマッチしていなかったので、思い切って松田にアタックさせることにしてみました。結果はご覧の通りです。松田が期待に応えてくれて嬉しいです」
#23 Z 松田次生
「いきなりタイムアタックしろと言われ心の準備をしていなかったのですが、(良い)タイムが出せてホッとしています。もっとアタックの練習していればなお良かったでしょうけど、こういう事態に対応することも僕にとっては良い経験です。インターミディエイトのソフトも今週ははじめてだったのですが、思い切って攻めました」