04年にデビューして3年目を迎えるGT500のZ。ベースとなったのは、コクピット前後をパイプフレームへ、そしてトランスアクスル化して03年に3勝を挙げたスカイラインGT-R。04年の「速いZ」は、シリーズ全7戦中4勝、
オールスター戦まで入れると全8戦中5勝と圧倒的な強さをみせた。
さらに05年には「強いZ」としてカウルの強度をアップし、ラジエターやインタークーラーなどの補器類を守りムダなピットインやリタイアを避けるよう進化。ドライバーの安全にも気を配り、真横からのTボーンクラッシュ時にもドライバーを守るよう、ロールバーに厚さ18mmのカーボンのパネルを装着した。もちろんエンジンもシーズン途中から排気量を上げたパワーアップ版を投入したり、ターボをウエストゲート式にするなど開発に努めたが、ライバル勢も黙って指をくわえているわけではなく、さらに高地のサーキットにおけるターボ車へのハンディキャップなどもあり、わずか1勝を挙げるにとどまった。
そして今年は昨シーズンを反省し、「速いZの復活」をテーマに06Zが投入された。昨年、何が悪かったのか? まず最高速が伸びない。コーナーを立ち上がってからの加速、ハンドリング性能に欠ける。「ドライバーには『ライバルと競ってもなかなか抜けない。もっとパワーが欲しい』と言われ続けていました」と車両開発責任者である石田久開発担当取締役(以下、石田)は苦笑する。そこで06Zは、エンジンと空力を中心に改良が加えられることになった。
|
エンジンで真っ先に上がった課題は、中低速域での加速を高めること。ターボに手を加えて低速からもドッカンと利かせることも不可能ではないが、ドライバーのステアコントロール性が損なわれかえって不利になる。そこで基本的な諸元にかかわる部分に変更はないものの、「かなりの部分をいじった」(石田)という。詳細は明らかにされていないが、冷却系、タービン、アンチラグシステムにも大きな変更はないが、ターボラグは改善されているという。ただしまだ目標とする値まで達していないため、シーズン中にも改良版が投入される予定で、第2戦岡山でもそれまでと異なる形状のインテークコレクター(タンク)が装着されていた。
トヨタに続いて昨年途中からホンダもNA(自然吸気)エンジンを搭載。Zにも大排気量のNAエンジンという意見はないのだろうか?
これについては「議論はしていますが、ターボエンジンのノウハウの方が現時点では圧倒的に多いですから」(石田)と早い時期のエンジン変更はなさそうだ。
|
 |
|
|