100名を超えるメディアが集まった記者会見場に星野一義選手が登場。NISMO佐々木健一社長のあいさつの後、星野選手が引退の理由を語り始めた。
「ちょうどお盆前にニッサン、NISMOに相談しました。かねてから痛みを抱えていた腰がベストな状態に戻らないので、チームとして貢献するには新しいドライバーを迎えた方がいい結果が出るのではないか、自分をクビにするのが一番じゃないかと。
この5〜6年ヘルニアを抱えながら走ってきましたが、年齢を重ねるにつれ一緒に乗ってる本山や(田中)哲っちゃんにコンマ5秒、コンマ8秒と遅れてしまう。意欲とチャレンジする心はあって、なんとかがんばってみるんだけど、自分でムチ打っても補いきれないし。自分にお疲れさまって言ってもいいんじゃないかと思いました。女房にも話をしたら同意してくれました。それで日産に言ったら分かってくれて『ご苦労さまでした』ということで。
お盆の前でちょうど休みに入るので、発表できるまでは秘密にしておいたんですが、休みのある日、テレビで『星野が〜』なんて言ってて、阪神のことだと思ったら自分の引退のニュースでした。(去年の免停を掲載した)フォーカスの時もそうだったけど、秘密というのは守れないなあと思いましたね(場内大爆笑)。
4輪に転向してからはニッサンに世話になって、レースだけじゃなく、テストも多く走りました。よく『日本一速い男』と言われてきましたがそれについては自信はない。でも『日本一走行距離数の多い男』だったということには自信があります。ニッサン、ブリヂストン、カルソニック他、本当に感謝しています。
今後は監督業として活動することになります。これまでサーキットでは目つきが悪かったようなのですが、これからは温厚な星野でありたい(笑)。それでもレースのときは2位ということは考えていないので、ホシノレーシングとしてベストを尽くしていきたいです。夢を持ってチャレンジすることの素晴らしさを教えてくれたのはレースだったので、これからもレースを愛していきたいと思います。今後も、よろしくお願いします」
目も潤み、言葉も詰まりそうになりなった星野選手に、大きな拍手が贈られた。その後、日産自動車の富井史郎常務が、星野選手の労をねぎらうスピーチの後、質疑応答となった。