全日本GT選手権用スカイラインGT-R
2000年モデルの内容
GT仕様のGT-Rは、2年ごとに大きくモデルチェンジを行っている。01仕様も基本的に00仕様をベースとして開発されたものだ。00年、01年と最終戦までチャンピオン争いをし、01年はチームチャンピオンをNISMOにもたらしたGT-Rの開発ストーリーを紹介しよう。
1993年にスタートした全日本GT選手権(JGTC)は、カテゴリーとして継続的に発展していくために、基本に2ドアの量産車両であれば参戦できるという開放性と、速すぎると重量ハンデイを与えるという徹底した能均衡化を規則上の特徴としている。
00GT-R開発のコンセプトは「速さの追求」
JGTCは、「走る、曲がる、止まる」というクルマの基本性能をつかさどる各機能要件に規制が設けられている。まずここで性能が均衡化されているわけだが、さらに重量ハンディ制を導入することで、徹底した性能均衡化をしている。レース規則の面では、レース距離が300km以上と耐久色が濃く、2人のドライバーが交代で走り、必ずピットイン作業が発生するということが特徴で、クルマが速いだけでは勝てないというレースになっている。このハード面、ソフト面の規則が比較的安定的に継続され、コンペテイテイブなレース環境が保たれてきたことが功を奏し、現在参加車種のバリエーション、観客動員数も国内随一のレースに発展してきている。そして、コンペテイションのレベルは、現在、全日本選手権のトップクラスの車両は量産車両をベースにしているにもかかわらず、レース専用車両であったスポーツプロトタイプカーの速さに届こうという勢いで向上してきている。
◆JGTC FISCO LAPTIMEトレンド
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2002年富士Rd.2 予選TOPラップタイムは、2次近似式で84.139sec。QFトップの向上率が減少傾向にある。 |
スカイラインGT-Rが参戦している全日本GT選手権は、非常にコンペテイテイブなレースが展開されている。その中でスカイラインGT-R(以下GT-R)は、98年、99年と2年連続チャンピオンに輝いている。これは、富士におけるレースのラップタイムトレンドにGT-Rの実績を重ねたものだが、GT-Rは、速さでアドバンテージを持っていたわけではないというのが分かる。では、なぜチャンピオンを獲得できたのかというと、必ず完走し上位入賞をする耐久信頼性の高さと、ピットワークの素早さといったチームの総合力による部分が強い。だが、99年中盤には、競合車種や競合チームに対するこのアドバンテージもわずかなものになってきていた。そこで、00仕様の開発にあたっては、「速さの追求」を開発のコンセプトとした。
GT-Rの競合車種は、トヨタ・スープラ、ホンダNSXといった量産スポーツカーをベースにしている。GT-Rは量産車としては運動性能とユーテイリティが非常に高い次元で成立している車輌だが、レース車として彼らに対抗していくにはいくつか苦しい点がある。
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