その後、周回遅れをかわすたびにトップにつけられていた約3秒の差を徐々に詰め、60周目には0.5秒差まで縮めていった。4速ギアを失った#1は明かにストレートスピードが伸びず、オーバーテイクのためにはリスキーなブレーキングテクニックを使わざるを得ない状況であった。10ラップもの間テールトゥノーズの攻防を繰り返したのち、チャンスを見つけたコマス選手は第2コーナーで#37のインをつき、執念の逆転を果たす。そして、残す周回もコマス選手はコンセントレーションを失わず、ステディーなドライビングでチェッカーフラッグを受け、サヨナラ逆転優勝の栄冠を手に入れることとなった。
決勝レースに先だって行われた朝のウォームアップセツションで左リアホイールが外れ、レーススタートが危ぶまれた#2は、ローリングスタート後はその事実がなかったかのような快調なテンポでトップグループに加わる。レース序盤は鈴木亜久里選手の隙のないドライビングで周回を重ね、一時3位まで浮上。#1と同様、迅速なピットワークでドライバー交代を終えると、クルム選手は#16のNSXと激しい3位争いを繰り広げる展開となった。
このデッドヒートに42000名の観客は沸き、ARTAゼクセルスカイラインのホットな走りに惜しみない声援を送った。しかし、チェッカーフラッグ間際の73周目に突如スローダウン。バックストレートのグリーンにストップすると、再びコースに復帰することはなく、クルム選手はヘルメットを脱いだ。トラブルの原因は駆動系の破損であった。