GT Introduction
GT入門コンテンツ
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Vol.1「GTって何?」
Vol.2「タイヤの話」
Vol.3「ドライバーの仕事」
Vol.4「メカニックの仕事」
Vol.5「タイヤについて」
Vol.3 「メカニックの仕事」
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レースに勝つためには、「速いマシン」と「速いドライバー」、そして「戦略」、この3つの要素が必要不可欠です。そのうちの1つ、「速いマシン」を作るために日夜働いているのが、メカニックと呼ばれる人たちです。
メカニックとエンジニアの違いがよく分からない、という人もいると思いますが、メカニックは「マシンを製作、整備する」のが仕事で、エンジニアはマシンを速くするために「仕様を決め、作戦を立てる」のが仕事です。メカニックは、サーキットでマシンのチェックをするのはもちろん、図面から部品を製作したり、ドライバーやエンジニアからの要望に応えてマシンを作り上げます。
現在NISMOには3台のGTマシンがあり、2台のレースカーには、それぞれ5名のメカニックと、この2台を統括するシニアメカニックと呼ばれる担当者が1名ついています。もう1台のテストカーには、4人の担当メカニックと、1名のシニアメカニックがついています。シニアメカニックとは、これまでにチーフメカニックの経験を持ち、彼らをサポートするベテランメカニックのことです。


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メカニックと一口に言っても、仕事の内容はさまざまです。NISMOではそれらの仕事を次のように分担しています。
まずは、サスペンションやブレーキなど、足まわりの担当。マシンのセッティング変更に素早く対応し、スプリングを交換したりショックアブソーバーの仕様を変更したりします。ロングランテストのときにはブレーキのパーツ(パッドやローター)を交換することもあります。またセッションとセッションの合間には毎回タイヤ&ホイールをマシンから外し、足まわりがセッティングした状態からずれていないかをチェックして、変化があれば修正します。
トランスミッション、デフ、ドライブシャフトなどのパワートレーン(駆動系)担当メカニックは、これらのパーツに不具合があれば修理や交換を行いますし、セッションの合間にギアボックスを降ろしてギアを交換することもあります。
エンジン担当のメカニックは、レース用のエンジンをメンテナンスしてマシンに搭載してレースウィークに備えます。セッションの合間には、ちゃんとエンジンが動いているか、細かい点検も行いますし、トラブルが発生すれば現場で載せ換えなければならないこともあります。
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そしてレースが終わればエンジンをマシンから降ろし、次のレースに向けて整備&調整することが仕事です。
また、カウルなどのカーボンパーツ製作や修復を手がける、コンポジット担当のメカニックもいます。彼らは普段NISMOの作業場で作業をしていて、レースの現場となるサーキットにはあまり足を運びません。NISMOでは、入社するとすぐこのコンポジットと、板金加工などのファブリケーターという2つの作業を担当することになります。これは、この2つの仕事がメカニックをしていく上での基本となるからです。これらの経験を積んだメカニックが、やがてエンジンや足まわり、パワートレーンを担当することになります。
そしてそれぞれの担当に的確な指示を与えるために、マシン全体を見る車両付きのメカニックがいます。彼らはチーフメカニック、サブチーフメカニックと呼ばれ、そのマシンの整備責任者&サブ責任者です。彼らはメカニックとしての経験を10年程度経験した、いわば兄貴的な存在で、若いメカニックから目標になる存在です。


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メカニックたちは、レースウィークの予選や決勝レース中には、タイヤ交換やジャッキアップ、給油、消火器の準備、発信器の交換などのドライバーサポートといった仕事を分担して行います。レースが終わればファクトリーに戻り、ほとんどのパーツをマシンから外して総チェックを行います。
メカニックにとって重要なことは、“絶対にミスをしない”ということです。とはいっても人間ですから時にはミスもあります。ですからマシンが走る前に必ずそれを見つけてつぶすことも重要なのです。ほんの些細なミスが原因で、大事故につながる場合も考えられます。極限の中でレースをしているドライバーの命を預かっているんだという意識を常に持って仕事をしています。
またメカニックの仕事は、レースや機械いじりが好きでないと務まらないでしょう。汗や油にまみれて、徹夜の作業になることもあります。気力も大事ですが体力を保つことも大切です。NISMOにはトレーニングルームがあり、メカニックはここで体を鍛えています。
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新人は基礎的なトレーニングからスタートして、担当が決まるとそれ用のメニューが組まれます。
ピットワークにおけるメカニックたちのムダのない俊敏な動き、そしてテキパキと進む作業は見ていて気持ちが良いものですし、かっこいいですよね。 
チームの縁の下の力持ち。いかに安全に、いかに速くマシンを走らせられるかは、実はメカニックの腕にもかかっているのです。

GT Introduction Vol.3