What Makes a Le Mans Driver?
ル・マンドライバーのお仕事

ハリー・ティンクネル 
ル・マン24時間レースは世界最大規模のレースで、ドライバー、チーム、マシンの力が試される場所でもあります。

オリビエ・プラ
それはドライバーやマシンにとって大変厳しいものです。

ティンクネル
ル・マンに参戦するドライバーが成功するためには、あらゆる面において素質がないといけません。

マックス・チルトン
ル・マンにおいて優れたドライバーとは、当然ながら速さと、気象条件や路面の状況に影響されずに安定して走れること、そしてマシンを無事ゴールまで導くことが要求されます。

ティンクネル
その名の通り24時間レースですから、長丁場であることを念頭に置かなければいけません。1コーナーのインにブレーキ勝負で飛び込むことばかり考えてはいられないのです。今年は、特に私たちにとって多くのハードルが待ち構えていることと思います。

ヤン・マーデンボロー
ル・マンを世界でも最も難しいレースとしているのは、クラス違いのマシンの追い抜きだと思います。レース中、スピードの遅いGTクラスやLMP2に毎周遭遇します。

プラ
長いストレートからのハードブレーキングや非常に高速のポルシェカーブなど、追い抜きにはテクニックが要求されます。

ティンクネル
ル・マンの天候は予想がつかないものです。毎年のように急激な雨に見舞われ、時にはコントロール不能に陥ることもあります。こういった急激な降雨などにも対応できるよう準備しておかねばなりません。

プラ
当然ながら、夜間走行もあります。夜間、時速340キロで走行するのは、格別な気分です。

マーデンボロー
夜間走行、特に夜11時くらいですが、ミュルサンヌを駆け抜けるときにはいろいろな匂いがしてきますね。コースサイドのバーベキューのにおいも漂ってきます。そのせいでコックピットに座っているのが耐えられないくらい、お腹が空いてくるんですよ。

ティンクネル
耐久レースの特徴が非常に色濃く出るレースだと思います。

プラ
5スティント続けて、すなわち4時間連続で走るくらいですから、非常にタフです。

チルトン
それに耐えられるだけの集中力との体力をあらかじめ持っておかなければなりません。

ティンクネル
レース中はアドレナリンが出ていて何とか乗り切れますが、チェッカーフラッグが振られた後は、どっと疲れが来ます。翌週は眠くて1日12―13時間は寝ていました。

ダレン・コックス グローバルヘッド NISMOブランド/マーケティング/セールス
私たちのマシン同様、ドライバーラインナップの選定も他社とは異なるやり方で行っています。従来のカート出身ではなく、プレイステーションのゲーム出身のGTアカデミーからのドライバーや、オリビエ・プラ、ハリー・ティンクネルといった日産エンジンを搭載するLM P2マシンでここ数年レースをしていたドライバーたちです。私たちは彼らのことをよくわかっていて、今回LM P1にステップアップするのをとてもうれしく思います。

チルトン
日産のドライバー陣の組み合わせ、バラエティーは素晴らしいと思います。フォーミュラ経験のみの人、または経験のない人、耐久レースの経験豊富な人、経験のない人、20年以上のレース経験を持つ人もいて、本当にバラエティーに富んでいます。

コックス
3人のドライバーが1台のマシンでル・マンに挑戦する、と言いますが、実際は9人のドライバーが、それぞれのマシンの状況、車両のセットアップ、ドライバー自身の経験などを共有しながら、3台のマシンで戦うのです。特に、今回はル・マン初挑戦となるドライバーが3人います。彼らは、すでにル・マン経験のあるドライバーから学びながらル・マンに挑戦します。

プラ
チームワークというのは、耐久レースにおいて大変重要なポイントです。マシンに携わるクルーがたくさんいますし、交替でドライブするチームメートもいます。みんなとよい関係を築き、同じ方向を向いて仕事をすることが大切です。

ティンクネル
ル・マンではチームワークがすべてと言っても過言ではありません。フォーミュラではチームメートというと最大のライバルになりますが、ル・マンでは、お互い助け合いながら、時計のように正確にメカニックとともにレースに臨まなければなりません。24時間中、およそ25回のピットストップが想定されますが、そこでもタイヤ交換、燃料補給などの作業が澱みなくスムースに行われるよう、万全の準備をしておく必要があります。

コックス
多くのレーシングドライバーにとって、ル・マンがレース人生の頂点とも言えるでしょう。

マーデンボロー
日産で3年半レースをしてきて、ル・マンのトップカテゴリーに参戦できるなんて、いまだに信じられません。

チルトン
ル・マンに参戦できるなんて、本当にすばらしい経験になると思います。F1の他にこれまで夢見ていたことでもありますし、それがLM P1に参戦するメーカーで実現したのですから、今から待ちきれません。