Why is the GT-R LM NISMO FWD?
GT-R LM NISMOが前輪駆動なワケ

ベン・ボウルビー テクニカルダイレクター/チーム監督
このマシンは、ル・マンの歴史をみても独特で、この前輪駆動(FF)レイアウトで勝利を目指します。伝統的にレーシングマシンは、エンジンを車体後部に積み、後輪を駆動させる手法が主流となってきました。これは、トラクションと車体パッケージの利点を生かすためです。

一方で、私たちはエンジンを車体前部に搭載し、前輪を駆動するレイアウトが有利に働くと思っています。

ヤン・マーデンボロー LM P1ドライバー
車体前部にエンジンがあることにより、ボンネットが長くなっています。これにより、最大限のダウンフォースを得ることができます。コーナリングもストレートも最適なダウンフォースを生み出せます。ル・マンのストレートはとても長いですが、ここで競合に対してタイムを短縮できると思っています。

ボウルビー
超高速状態から、コーナリングのために大きく減速しなければなりません。

アレックス・バンコム LM P1ドライバー
これは日産が1997年、BTCC(イギリスツーリングカー選手権)に実戦投入したFFのレーシングカーです。90年代後半までさかのぼる、幅広ですっきりとしたデザインですね。このマシンに携わったエンジニアも、今回のLMP1マシンの開発に携わっています。

FFの特徴は、低速コーナーで感じとることができます。アクセルを踏んでいくと、車両が外側に押し出される「アンダーステア」が起こります。

ボウルビー
アンダーステアとは、舵角に対して実際の操舵が不足している状態。革新的な空力技術や、駆動力制御技術によって私たち克服していかなければならない課題でした。
エンジンなどの重量物が車体前部にあることで、マシンは安定性に優れています。とくに滑りやすい状況でスピンしてしまう可能性は低いでしょう。内燃機関を車体前部に搭載し、前輪を駆動するこのレイアウトは、レースの世界では革新的であると言えます。
ただ、FFは市販車では今やごく当たり前のレイアウトです。

マーデンボロー
たとえばジュークのような市販車も、パッケージングの効率性からエンジンを前部に積むレイアウトを取っています。もっと速度域は高いですが、Nissan GT-R LM NISMOも同じく効率性の面でこのレイアウト採用しています。

バンコム
効率性というのはル・マン でも大きな意味を持っており私たちのLMP1マシンの強みになると思います。

ボウルビー
フロントエンジン、前輪駆動、550馬力のエンジンを組み合わせた車両の開発は、私たちにとって垂直立ち上げで、多くを学びました。

私たちは、みなさんの想像を超えるようなLMP1マシンを開発しています。もしこれが正しいければ、競争力のあるクルマ作りにおいて、まったく新しい方法を世に示したということになるでしょう。