Testing the GT-R LM NISMO
GT-R LM NISMO テストの現場

ベン・ボウルビー テクニカルダイレクター/チーム監督
私たちは(Nissan GT-R LM NISMOのような)レイアウトを持つマシンでレースをするのは初めてで、当然ながら開発テストはたいへん重要な意味を持っています。

ザック・エイキン チーフエンジニア
開発テストは、実際のレースでマシンに何が起きうるかを確かめる場です。

ボウルビー
世界耐久選手権の最初の2戦、シルバーストンとスパを欠場したことは残念ですが、マシン自体はル・マン24時間に照準を合わせて開発されています。

エイキン
空力においても、基本的なセットアップはル・マンに向けたものです。例えばル・マンでのピットストップを見据えて、マシン右側からドライバーが乗り降りするように設計されています。その他の面においても、基本的にル・マン24時間で最良のパフォーマンスが出せるように設計しています。

ボウルビー
このマシンは、ル・マンの歴史をみても独特で、この前輪駆動レイアウトで勝利を目指します。マシンは、他のマシンとは一線を画すものですが、私たちは夢見ている訳ではなく、実際にマシン開発を進め、実戦での競争力を高めようとしています。
GT-R LM NISMOの開発は、コンピュータを駆使して進められてきました。そこで私たちは、タイヤの状態、重量配分、空力セットアップなど、必要なデータをもとにラップタイムのシミュレーションを行っています。空力については、CFDという技術を使っています。コンピュータ上でのシミュレーションは強力で、マシン開発の上でたいへん重要です。

エイキン
文字通りゼロからのマシン開発です。ベースとなる基準すらないものもたくさんあります。

ボウルビー
新しいもの、他とは異なるものへの挑戦です。多くの方が、本当にちゃんと走るのか?と疑問を持っています。

エイキン
サーキットでのテストでは、レース本番に近い状態で走行ができます。

ボウルビー
本番同様の負荷状況を再現できるようなコースを選んで、テストを重ねています。

エイキン
ここアメリカの新しいテストコースは、ル・マンのコースにできるだけ条件を似せて作られています。ここでのテストで、マシン全体の状態をつぶさに確認することができます。

ボウルビー
テストを重ねるにつれ、予想外の新しい問題に直面することがよくあります。それをどう克服していくかが大事ですね。

ボウルビー
FIA(国際自動車連盟)の課すクラッシュテストは、マシン開発の上で大変重要なポイントです。

サイモン・マーシャル コンポジット担当
まずフロントロールケージのテストを行いました。これはマシン前部にある橋のようなもので、テストでは8トンもの荷重をかけますが、この荷重に耐えきれずに大きく破損してしまいました。私たちはすぐに設計を見直すための作業に着手しました。この見直しでさらにマシンへの理解が深まった面もあります。
マシン開発において、このような失敗で学ぶことはたくさんあると思います。ル・マン24時間レースは、独特かつ厳しい条件下で行われます。平均速度は高く、夜間走行があり、ドライバーをはじめみんな疲労していきます。コース上のドライバーの経験値・スキルも様々です。ル・マンではトラブルが起きてしまう可能性が高いのです。

ボウルビー
マシン開発は急ピッチで進んでいます。

エイキン
日産はこのマシンの開発で多くのことを学ぶでしょう。より優れたマシンを作り上げようとする私たちの姿を、引き続きご覧いただきたいと思っています。

ボウルビー
すべてが一丸となれば、素晴らしい結果が得られると確信しています。