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皆さん、こんにちは!

欧州への挑戦ブログ・シーズン2も今回で最終回となりましたが、最終回に相応しい、最高の報告が出来てすごく嬉しいです。

ヨーロッパ挑戦2年目、ついにブランパン耐久シリーズPROクラス、ドライバーズシリーズチャンピオンを獲得することが出来ました!!

2年前、欧州行きが決まったときには、正直ワクワクする気持ちよりも不安な気持ちの方が大きく、全く知らない環境と今まで経験したことのないヨーロッパでのレースでまずは結果を出せるのかどうか、もし上手く行かなかったらGT500への道が遠ざかってしまうのではないか、不安な気持ちでいっぱいでした。

しかしそんな僕を元気づけてくれたのは、ニスモの現地スタッフと、チームの仲間の存在でした。最初は英語で上手く会話も出来ない僕に冗談を言いながら言葉を教えてくれて、レースの後はホテルに帰ってから必ずチームみんなで打ち上げをして、絆がどんどん深まっていきました。

そして2年目の今年、PRO-AMクラスからPROクラスへ参戦するにあたり、戦いもより過酷になりました。開幕戦モンツァでは、表彰台を狙える位置を走りながら、ピットストップのわずかな差で惜しくも表彰台を逃す形になりましたが、その後チームがピットワークの改善と練習を重ねて、最終戦のニュルでは素晴らしいピットワークを見せて、レースをリードすることが出来ました。

第2戦では、アレックスが予選で素晴らしいアタックをしてポールポジションを獲得。ウォルフィがスタートを担当し、トップを走行していましたが、周回遅れのマシンを抜く際に接触してしまってマシンにダメージを負い、ノーポイントに終わってしまい、チーム全員が落胆しました。

しかし第3戦のポール・リカールでは、チーム誰一人としてミスをすることなく、6時間に渡る激闘を制し、GT-Rとチーム初となる総合優勝を手にすることが出来、チーム全員が歓喜に満ちました。

そしてシーズンの天王山となるスパ24時間では、夜間走行中の接触と夜明け後の電気系トラブルにより大きく後退をして、ポイント圏内にあとわずか届くかどうかという順位を走行していましたが、幸いにもライバル勢が次々と脱落したため8位完走を果たし、貴重な4点を搾り取ることが出来ました。

今思えば、最終的にシリーズ2位のベントレーとのポイント差がわずか3点だったので、このスパ24時間での4点がなければタイトルに届きませんでした。

そして迎えた決戦の地、ニュルブルクリンク。予選では、アレックスがQ3で2位フロントローを獲得し、決勝レースは自分がスタートを担当しました。1コーナーではアウト側を回り、立ち上がりでベントレーに追突されながら、4位に後退しましたが、すぐに21号車のメルセデスを抜いて3位に上がりました。その後は2位のランボルギーニ・ウラカンに詰まる形になりましたが、ウラカンが早めにピットインして前方がクリアになったところで、ペースアップしてタイムを稼ぎ、チームのピットワークも完璧だったおかげで、2番手のウォルフィをトップでコースに復帰させることが出来ました。

しかし最後のピットインの直前にセーフティーカーが入り、全車同時にピットイン。ピットワーク勝負で順位が決まる状況の中、目の前のピットに車両が止まってしまい、マシンをメカニックが後ろに押し戻して出す形となり、タイトルを争う7号車ベントレーに真後ろに着かれてしまいました。その後残り一時間は、アレックスとベントレーとの壮絶なバトルが繰り広げられますが、僕らはモニターを見つめることしか出来ず、あれほど時間が経つのが長いと感じたことはありませんでした。結果的にベントレーには抜かれはしましたが、3位でフィニッシュし、ポイント差を守りタイトルを獲得することが出来ました。

年間5戦しかないブランパン耐久シリーズは、1戦1戦が本当に重要で、たった一つでも落とすことが出来ない本当にシビアにチャンピオンシップだったと思いますし、その中でチーム全体が毎戦毎戦成長して、最終戦で集大成となる最高のパフォーマンスを出して勝ち取ったタイトルの喜びは本当に言葉に表せません。

また今年の8月には、シルバーストーンで行われたGT Academyレースキャンプに初参加となった日本からのファイナリストたちのメンターとして同行しました。今までGT Academy出身のドライバーと一緒に走ることはありましたが、彼らがどういった選考をくぐり抜けて来たのか、この目で見るのは初めてだったので、すべてが印象的でした。日本からはなんと6万人のゲーマーの中から選ばれた6人のファイナリストが参加しました。その6人に選ばれるだけで十分凄いことだと思いますが、今回のレースキャンプ・アジア大会では、他にインド・インドネシア・タイ・フィリピンの計5カ国から参加した総勢30人のファイナリストの中からGT Academyアジアウィナーになれるのは、たったの一人だけ。自分も彼らと同じ気持ちで6日間戦いましたが、惜しくも日本からは、優勝者を生むことは叶いませんでした。

しかし自分より若い世代の彼らが真剣にレーサーになりたいという夢に向かって立ち向かう姿に心を打たれました。若者のクルマ離れという言葉を耳にする時代の中で、彼らの様な若者がいることは正直に嬉しかったですし、そんな夢を持てるモータースポーツの世界が、改めて素晴らしい世界だと感じさせてもらえる貴重な経験になりました。

自分自身も、このニスモグローバル・ドライバー・エクスチェンジ・プログラムを通じて、ヨーロッパのレースに本格参戦させていただき、国内では経験することができない経験をたくさん積ませていただきました。知らない環境に飛び込み、新たな挑戦をすることはとても勇気がいることでしたが、他の人が出来ない、また見ることができない景色を見させてもらい、今は本当に感謝の気持ちでいっぱいです。この経験を糧に、来シーズンもさらに上のステージで戦える様、現状に甘んじず、頑張って行きたいと思います。

2年間、この欧州への挑戦ブログを読んでいただき、ありがとうございました!

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