OMORI FACTORY NEWS

2010.5.6
44万キロ走破のRBエンジン。その中身は!? Vol.1

皆さん、こんにちは。エンジンメカニックの小坂です。
なんと驚愕の「44万キロを走破したRBエンジン」が入ってきました。その中身はどうなってるの?という事で、エンジンをバラしてみることに。自称、日本一RBエンジンを組み上げた男としては非常に興味があります。

私の知る限り、最長距離を走破したであろうRB26DETTエンジン(BNR32)。今回、お客さまが「S1」エンジンに換装されたため、元々のエンジンをお引取りさせていただいたものです。エンジン自体はノーマルで17万キロ時点で大森ファクトリーのエンジンリフレッシュを施工しているとはいえ、エンジンの中身はどうなっているんでしょうね!?

まずは外観チェック。オイルパンやタービンからのオイルニジミはありますが、大きなオイル漏れ、水漏れ部位もなく想像以上にキレイです。

RB ENGINE
RB ENGINE
 

通常、10万キロを超えるとロッカーカバーの前部よりオイル漏れが発生しやすくなるのですが、このエンジンにはニジミもありません。 これは、エンジンリフレッシュ時にカバーのシールに漏れ対策を施した効果ですね。
また、距離の延びたエンジンでは、タービンアウトレットの取り付けナットが緩んでいたり無くなってしまう事が多く、 排気漏れの原因となることが多いのですが、緩みもなくしっかりと固定されていました。リフレッシュ時にBNR34用の アウトレットに交換すると同時にトルク増しで締め込んだ効果と言えます。

RB ENGINE

↑ロッカーカバー前部。オイル漏れなし。

RB ENGINE

↑アウトレット取付ナット部。外れ、緩みなし。

 

続いては補器類。
マニホールドやコレクタータンクのガスケットがキレイな状態を保っています。乗り方にもよりますが、ブーストを上げた 場合などはガスケットがズレて抜けてしまい、アイドリングが不安定になることがあります。ちなみに、純正のガスケットが 装着されていますが、エンジンリフレッシュをされた場合はシリコンコーティングを施したメタル製ガスケットに交換するので、 ブーストを上げても抜ける心配はありませんヨ(このエンジンは10年以上前にエンジンリフレッシュを行なったので当時は 該当パーツが販売されていなかったんです)。
一方、スロットルチャンバーやAACバルブは27万キロ分の汚れがタップリと付着しています。スロットルチャンバーに汚れが堆積すると スロットルの開閉が不安定になり、AACバルブはアイドリング不調を招きます。リフレッシュ時にはチャンバーは清掃、AACバルブは 新品に交換となります。

RB ENGINE

↑コレクタータンク。ガスケットの状態がキレイ。

RB ENGINE

↑歪んだガスケット例。

 

RB ENGINE

↑スロットルチャンバー。かなり汚れてます。要清掃。

RB ENGINE

↑AACバルブ。かなり汚れてます。要交換。

 

エキマニはゆがみにより、マニホールド間の隙間が小さくなる(特にブーストを上げている車両は顕著)ことが多いですが、 そういった様子も見当たりません。ご参考までにR1メニューの場合、マニホールド間の隙間を維持するためスペーサーを溶接 しています。

RB ENGINE

↑エキマニ。歪みもなく、マニホールド間幅も適正値。

RB ENGINE

↑R1メニューの場合、スペーサー溶接により、ゆがみを防止。

 

ターボチャージャーは、リフレッシュ時にBNR34用を装着したのですが、タービン側に亀裂が入っています。 通常はブーストアップや燃料を薄くすると出てくる症状なのですが、走行距離が延びることでも同じような症状が出ることが 判明しました。エンジンスペックや走行距離に応じてリフレッシュが必要ですね。

RB ENGINE

↑ターボチャージャー分解。

RB ENGINE

↑亀裂あり。要交換。

 

次回は、いよいよエンジン本体をチェックしたいと思います。メタルやピストン、バルブの状態や各クリアランスなど、 どんな結果が待っているのでしょうか?お楽しみに。

以上、エンジン室より小坂がお伝えしました。

 
KOSAKA

Reported by 小坂
(OMORI FACTORY)