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1991年スパ24時間レース GT-RグループA仕様で制覇する

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1991年、総合優勝

 1990年のグループN仕様による表彰台独占から1年後。1991年のスパ24時間レースはいよいよグループA仕様のスカイラインGT-Rで総合優勝を目指すことになった。既に、1990年のスパ24時間レースでは、NISMOのグループA担当メカニックが帯同し、現地の様々な調査を行なってきた。

 国内の全日本ツーリングカーレースでは、デビュー以来、連勝街道を驀進中のグループA仕様スカイラインGT-Rだったが、24時間という長丁場ははじめての挑戦。「GT-R」のエンブレムを装着するからには負けることは許されないという空気が、NISMOのグループAチームにあった。

 初のスパ24時間レースに向け、NISMOは5月にスポーツランド菅生でテストを実施。チーム内では「特打」と呼ばれたロングランテストは延べ10日間におよぶもので、走行距離にして4000㎞以上を走破していた。このテストでは、夜間走行も想定しヘッドライトなどのテストも行っていた。4000㎞以上の走行テスト後は、テスト車両を分解。様々なパーツの消耗度合いも確認し、本番のレースでのシミュレーションも行なったのだ。

 こうして万全の準備を整えたGT-RとNISMOチームはいよいよベルギー乗り込んだ。ドライバーは日本国内でも活躍するアンデルス・オロフソン、デビッド・ブラバム、そして前年のスパ24時間でもグループNのGT-Rを駆って2位に入賞した服部尚貴の3人。

 1991年のスパ24時間は、GT-Rの最大のライバルと目されたBMWワークスのM3軍団が欠場した。理由はドイツ国内選手権と日程が重なったことによるという。
 予選では予定通りポールポジションを獲得。そして、決勝レースではスタートから飛び出したGT-Rがグイグイ後続を引き離し、そのまま24時間を走り切った。しかも、その間、一度もトップの座を明け渡すこと無く圧倒的な速さで日本車初の総合優勝を遂げたのだ。この優勝で、当時NISMOが目標としていた「世界3大24時間レースの制覇」の夢はまずひとつ目が叶った。ちなみにグループNクラスでもGT-Rが優勝し2連覇を達成。

1992年、リタイヤ

 翌1992年のスパ24時間では、GT-RとBMWワークスのM3との直接対決が注目された。だが、前年の覇者であるGT-Rには、なんと90㎏のウエイトハンディが課せられたのだ。このため、NISMOでは2連覇に向けて様々な対策を講じ、昨年以上のポテンシャルを狙った。

 ドライバー体制も前年の服部尚貴にかわってベテラン長谷見昌弘が加入。A・オロフソン、D・ブラバムの3人で2連覇に向けて表彰台の頂点を目指した。

 一方、BMWワークスのM3も王座奪還を目指しポテンシャルをアップしてきた。新型の2500㏄エンジンに加え、空力デバイスのリファインも行なわれていたのだ。

 迎えた予選。2分33秒700いう昨年並みのタイムを出したGT-Rに対し、M3のベストは2分30秒690と3秒以上速いタイムをマーク。しかも、5台のM3軍団がGT-Rの前のスターティンググリッドを確保。スタート時からGT-Rの行く手をブロックする体制が整っていたのだ。

 ところが、GT-Rにとっては幸運なことに、この年のスパ24時間レースは、それまでのローリングスタート方式からスタンディングスタート方式に変わったのだ。停止状態からのスタートダッシュなら、4WDのGT-Rが有利なことは明らか。とはいえ、5台のM3軍団のブロックを突破しなければならないことは変わらない。

 8月1日午後4時、1992年のスパ24時間レースがスタート。GT-Rは圧倒的なスタートダッシュで一気に前に出る。それをブロックするM3軍団。GT-Rは片輪をコース脇のダートに落としながらも、2台のM3をごぼう抜きにして3番手でオールージュを駆け上り、山岳コースに消えて行った。そしてホームストレートに帰ってきた時には、GT-Rがトップだった。

 その後もGT-Rは90㎏のウエイトハンディをものともせず、後続のM3軍団をじわじわと引き離しにかかる。そして、ルーティンのピットインで長谷見に交替。ところが、その直後からエンジントラブルが発生。緊急ピットインしチームは修復作業を行なった。この間、8位まで順位を落としたが、レースは序盤。まだまだ挽回するチャンスは残っていた。

 午後8時過ぎ、ドライバー交替で、ルーティンのピットイン。この時、悲劇がGT-Rを襲う。給油時にこぼれたガソリンに引火。GT-Rはあっという間に炎に包まれてしまった。メカニック達の必死の消火作業にも関わらず、グループA仕様 GT-Rの2年目のレースはここで終了した。一方、グループNクラスでは)GT-Rが優勝し3連覇を達成した。

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