NISMOパーツの歴史 NISMO PARTS

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K11型 NISMOマーチ G2ワイドトレッドバージョン(1995年)

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 1982年に登場した初代マーチ(K10型)は、当時としては異例の長寿を誇り、1992年に2代目のK11型へバトンタッチした。

 初代マーチには、ノンターボエンジンのほか、ターボエンジン、スーパーチャージャーとターボチャージャーのツインチャージシステムを搭載したホットモデルなど、スポーティなバリエーションが存在した。当然のことながら、レースやラリーなどの各種モータースポーツのベース車としても、多くの愛好家に支持されたクルマだった。

 2代目のK11型マーチはエントリーカーとしての本流を目指し、ハイパワーバージョンは存在しなかった。1000ccと1300ccのノンターボエンジンの2本立て。トランスミッションはMT、ATに加え、CVTを日産としてはじめて採用したモデルだった。都会的な丸みを帯びたスタイリングとよく考えられたパッケージにより、それまでのコンパクトカーのイメージを一新した。

 一方、モータースポーツの世界では、ノンターボエンジンで行なわれていたワンメイクレースは、徐々にK11型への移行を行なっていた。このレースは改造範囲が狭い、いわゆるN1仕様のマシンによるレースであった。1993年、NISMOはさらなるパフォーマンスアップを目指し、エンジンや外装も改造できるN2仕様車のワンメイクレースを立ち上げた。このレース車はフロントロワアームやリヤアクスルも延長しワイドトレッド化、コーナリングスピードを格段に向上させた。外観もNISMO製エアロパーツに加え、片側5cmほどの大きなオーバーフェンダーを装着し、迫力のスタイルが人気となった。

 そして、1994年、NISMOはK11型マーチのワイドトレッドバージョンのロードカー開発をはじめた。N2レースカーのパーツを一部流用することで、ワイドトレッド化し専用オーバーフェンダーも装着したものだった。

 具体的には、専用の延長されたフロントロアアーム、リヤアクスルはN2マーチ用。そしてロードカー用にデザインされた専用オーバーフェンダーを装着。このためリヤフェンダーはレースカーと同じ手法でカットされ、補強も行なわれていた。ホイールのオフセットやスペーサーなどで拡大されたトレッドではなく、正真正銘のワイドトレッドだった。

 NISMOでは、デモカーを3台製作。翌1995年から新たにスタートした、ワイドトレッドマーチによるイベントで使用された。このイベントは、誰でも気軽に参加できるジムカーナ的イベントで、モータースポーツ人口の拡大をねらったものだった。3台のデモカーは、なんとCVT。女性でも参加しやすいものだった。

 そして同じ年、「NISMOマーチG2ワイドトレッドバージョン」としてキット販売された。コンプリートカーではないものの、NISMO指定ディーラーで、ワイドトレッドキットを装着し販売するという形態が採用された。

 エンジンのパワーアップメニューはないものの、レースカーのノウハウを活かした卓越したシャシー性能とオーバーフェンダーを装着した外観で注目を集めた。

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