●●●
2011年11月、日産自動車はNISMOブランドの拡大計画を発表。NISMOは、日産の商品ラインアップのプレミアムスポーツバージョンを揃えるとともに、性能向上部品とアクセサリーのラインアップを拡充していくことになった。
拡大計画の具体例としてお披露目したのが、第42回東京モーターショーで公開した「ジューク NISMO コンセプト」「リーフ NISMO コンセプト」だった。東京オートサロン2012では続けて、「マーチ NISMO コンセプト」の公開も行った。
ジューク NISMO(F15)
「ジュークNISMO」はその後、プレミアムスポーツバージョンの第一弾として2013年2月に発売。1.6リッターターボエンジンを搭載した16GT FOUR Type Vをベースとし、「ジューク」が持つ個性的な魅力にNISMOにしかつくれない直系ワークスチューンの真価を実感できる走り、NISMOらしさにあふれたデザイン、そしてNISMOの情熱を注ぎ込み、開発を行った。
「ジューク NISMO」には、モータースポーツからのフィードバックを織り込んだ空力性能に優れたスタイリングと専用のインテリア、200PSに出力を向上した1.6リッター直噴ターボエンジン、トラクションに優れた4WDを、7速化したマニュアルモード付きエクストロニックCVT、優れたハンドリングと俊敏性を兼ね備え、より爽快なドライビングプレジャーを提供する特別にチューニングされた専用サスペンションを採用した。
日本での発売を皮切りに、欧州、北米、アジアオセアニア等世界各国で発売し、その高いパフォーマンスで好評を博した「ジューク NISMO」は、NISMOロードカーがグローバルに広がるきっかけとなった。
2014年11月には、パフォーマンスをより追求するお客さまに向けてラインナップの頂点を極める新グレード「NISMO RS」を追加。エンジン出力は、140kW(190PS)から157kW(214PS)に、トルクは、240N・m(24.5kgf・m)から250N・m(25.5kgf・m)にまで高められ、クラス内量産車トップレベルの出力を実現したほか、車体剛性の向上、ブレーキ性能の強化、サスペンションや電動パワーステアリングの専用チューニングを行うとともに、その高いパフォーマンスに見合うシート剛性とホールド性をもつRECARO製スポーツシートにもNISMO専用チューニングを施した。
フェアレディZ NISMO(Z34)
「ジューク NISMO」に続いて2013年6月に発売した「フェアレディZ NISMO」(Z34)は、先代Z33型から始まった「フェアレディZ Version NISMO」からの流れを汲み、発売されたモデルである。「フェアレディZ」の持つ高い運動性能をベースに、さらなるスポーツドライビングの楽しさを提案するべく、高G領域での刺激的な走りを求め、レーシングテクノロジーからのフィードバックによる空力特性に優れたエアロパーツを採用、エンジン出力は、左右バンク独立の等長フルデュアルエキゾーストシステム+ECM専用チューニングにより、標準車から19PSアップの355PS、トルクは0.9kgf・mアップの38.1kgf・mにまで高められ、エンジンの高出力化を図った。
モータースポーツで培ってきたテクノロジーを投入し、NISMOスピリットのデザインモチーフを織り込んだ専用のエクステリアおよびインテリアを採用するとともに、パワートレインをはじめ、タイヤ、ボディ剛性、サスペンション、ブレーキに至るまで入念な専用チューニングを実施し、コーナリング性能の向上、運転の楽しさ、抜群の安定性を実現した。
「フェアレディZ NISMO」はその後、2014年7月にマイナーチェンジ。「ジューク NISMO」と同様のNISMOデザインアイデンティティを採用し、エクステリアデザインを刷新した。ボディーパーツの変更により、前後のダウンフォースバランスを最適化することで、高速域でのハンドリング性能を向上させた。さらにインテリアでは、NISMO専用チューニングRECARO製スポーツシートを採用し、中高速域でもドライバーが安心して操作ができるホールド性を実現した。
2023年8月には新型の「フェアレディZ NISMO」(RZ34)となった。エンジンは、出力を298kW(405PS)から309kW(420PS)に、最大トルクは475N・m(48.4kgf・m) から520N・m(53.0kgf・m)に向上させ、パワフルな加速を実現した。また、トランスミッションは変速レスポンスと耐久性を向上させることで、俊敏なシフトチェンジを可能とした。
マーチ NISMO(K13)
NISMOブランドの拡大計画に基づくプレミアムスポーツバージョンの第三弾モデルとして、2013年12月に発売。従来からの熱狂的なモータースポーツファンや、スポーツドライビング志向のお客さまに限らず、より幅広い層のクルマ好きなお客さまにも量販価格帯でNISMOの情熱とこだわりを注いだデザインのクルマを提供するために、2つのグレードを設定した。
「マーチ」の低燃費はそのままに、空力性能に優れ、洗練されたデザインで自己表現をしたいお客さまに向けた「NISMO」グレードは、アイドリングストップ付きの1.2リッターガソリンエンジンとエクストロニックCVTの組み合わせの「X」がベースとなった。
一方で、よりスポーツドライビング志向のお客さま向けに、専用開発の1.5リッターガソリンエンジンと5速マニュアルを組み合わせ、さらに車体剛性もアップし、モータースポーツで培ったパフォーマンスを実現した「NISMO S」を用意した。「NISMO S」に搭載したエンジンは、ベース車から排気量をアップした1.5リッターガソリンエンジンを「NISMO S」専用にチューニングし、出力を27kW(37PS)、トルクを50N・m(5.1kgf・m)向上させ、85kW(116PS)、156N・m(15.9kgf・m)を発生する専用HR15DEエンジンだった。
その後2014年7月には、NISMO 30周年を記念した限定車「マーチ NISMO (S) 30th」を発売した。限定色である「ニスモチャンピオンホワイト」のボディカラーに、ダウンフォースを高めるフロントアンダースポイラーと大型ルーフスポイラーを装着したモデルで、受け付けはインターネットのみの限定販売だった。
●●●