「エクセディH.I.S.イングスZ」がST3チャンピオン獲得
「ENDLESS ADVAN Z」は総合3位表彰台に

 S耐第6戦はスポーツランドSUGOで500kmレースとして開催され、ST3クラスで#333「エクセディH.I.S.イングスZ」(前嶋秀司/佐々木雅弘)が終盤に壮絶なバトルを演じて2位でゴール、ST3クラスのチャンピオンを獲得した。#113「UNT Racing☆ings Z(伊橋勲/堤明彦)がクラス3位でゴールした。またST1クラスでは#1「ENDLESS ADVAN Z」(青木孝行/藤井誠暢)が総合3位表彰台を獲得。#10「Cenote ADVAN Z」(田中哲也/星野一樹/岡本武之)は4位だった。

 参加台数33台の第6戦。ST1クラスには2台のZ(380RS-C)を含み4台、ST3クラスには5台のZを含む8台が参加した。11月1日、朝こそ肌寒い風が吹いたSUGOだったが、午後は風もやみ好天のもと予選が行われた。A、Bドライバーのタイム合算により、ST1クラスでは#10 Zが3位となった。#1 Zは青木の予選中にミッショントラブルが発生。そこから30分ほどの時間でミッションを交換して、残り5分となって藤井がアタックしたが4位にとどまった。ST3クラスでは#333 Zが2位、#113 Zが4位、#777 Zが6位、#15 Zが7位、#19 Zが8位となった。

 決勝日の2日は、時おり風がやや強く吹き曇り空となったが、おおむね好天で決勝スタート直前には気温18℃の小春日和となった。冠雪した蔵王連山、秋の葉となった樹木を背景にした11時57分に135周の決勝レースがスタートした。スタートドライバーは、ST1クラスの#1 Zが青木、#10 Zが田中。ST3クラスの#333 Zが前嶋、#113 Zが堤、#777 Zが福山英朗、#15 Zが山崎学、#19 Zが輿水敏明。今回優勝で自力チャンピオンを獲得したい#333 Zの前嶋は6周目の1コーナーでSUGOと相性のいい#14 RX-7に先行されるも、#39 NSXとの3台で一団を形成してトップ争いを展開した。やがてそこから#39 NSXが抜け出し、#333 Zは#14 RX-7の背後でチャンスをうかがった。

 50周目に燃費の悪い#14 RX-7がピットインして、53周目に#39 NSXがピットイン。これで#333 Zがクラストップとなり56周でピットイン。ここで佐々木に交代して実質クラス2位でコースへ。トップの#39 NSXはドライバー交代をせずピット作業が短かったこともあり、2台の差は50秒ほどまで開いていた。中盤の88周目に#39 NSXが2回目のピットイン。これで#333 Zの佐々木が30秒近いリードのトップに立ち、さらにじわじわとその差を広げ45秒以上のマージンを稼いだ。

 110周目、#333 Zが2回目のピットイン。ドライバーは佐々木のままでタイヤ交換も予定していたが、作戦を変更して給油のみの22秒ストップでピットアウト。#39 NSXの5秒前でコースへ復帰した。#333 Zの佐々木は安定したラップタイムで走行していたが、レインボーコーナーで出ていたオイルに乗ってスピンした際に縁石でフロントバンパーを割り空力が悪化。特に終盤のSPコーナーから最終コーナーにおけるセクションのタイムが落ちるようになった。スピン直後に3.5秒だった差は5周後には1秒差まで縮まることとなった。

 ここから#333 Zと#39 NSXの息詰まるデッドヒートが展開。124周目にはその差は0.261秒まで接近。そして125周目の最終コーナーでアウトに膨らんだところのインを突かれて逆転を許した。しかし佐々木はあきらめずに今度は#39 NSXを追撃。127周目のS字先で#39 NSXがわずかにコースをはみ出して2台は急接近。翌周もS字先、馬の背でテールtoノーズとなるも逆転はできず、ファイナルラップの1コーナー先で逆にコースオフを喫して万事休す。2位ゴールながら、ランキング2位の#27 BMW M3がクラス5位となったことで、見事チャンピオンを確定することになった。

 後半の2スティントを伊橋が快走した#113 Zが3位チェッカーで第2戦・仙台以来の表彰台を獲得。序盤に#777 Zとバトルを展開したもののスピンを喫した#15「岡部自動車ディクセルZ」が4位に。輿水、池上慎二、高見沢一吉とつないだ#19「高見沢整骨院☆真東☆TC神戸Z33」は、電気系トラブルもあり7位。福山、DRAGON、吉田基良とつないだ#777「屏風浦工業ニューテック-Z」は、他車両との接触でバンパーを割り、結果オイルクーラーを塞いでコース上でストップしたが9位完走となった。

 ST1クラスは、2台のBMW Z4がレースをリード。Zによる3位争いはスタートで#1 Zの青木が前に出てその差を徐々に広げ、中盤と後半は藤井が安定した走りを見せて3戦連続4度目の3位でチェッカー。田中から星野(2スティント担当)へつないだ#10 Zも自分たちのペースでステディな走行を見せ、参戦した4レースのうち3回目の4位だった。なお、今回#28 BMW Z4が優勝して今年のST1クラスチャンピオンを獲得した。



前嶋秀司(#333「エクセディH.I.S.イングスZ」 ST3クラス2位/チャンピオン)
「2回目のピットインでタイヤを交換しなかったのはギャンブル。それまでの佐々木のラップタイムが安定していましたから。チャンピオンを獲得したということはまだ実感が沸かないです。チャンピオンを獲ってうれしいというよりも、勝てなかったことが悔しいです」

佐々木雅弘(#333「エクセディH.I.S.イングスZ」 ST3クラス2位/チャンピオン)
「2回もスピンしてしまって格好悪い。(NSXに)抜かれてもチャンピオン確定だっていうことを(チームが)無線で教えてくれないから、もう勝たなきゃと最後まで頑張っちゃいました。勝ちたかったですね。でも地元でチャンピオンを獲れたので良かったです」

青木孝行(#1「ENDLESS ADVAN Z」 ST1クラス3位)
「自分たちとしてはいいレースをしたと思います。去年よりラップタイムは1秒以上速かったし、タイヤコンディションも良かった。予選ではあの時間でミッション交換をしてチームの底力も見せました。相手はGT300の上位みたいなラップタイムを刻んでいますから、さすがにかなわないですね」

ST1クラス 出走4台
#1「ENDLESS ADVAN Z」青木孝行/藤井誠暢クラス3位/総合3位
#10「Cenote ADVAN Z」田中哲也/星野一樹/岡本武之クラス4位/総合4位
ST3クラス 出走9台
#333「エクセディH.I.S.イングスZ」前嶋秀司/佐々木雅弘クラス2位/総合8位
#113「UNT Racing ☆ ings Z」伊橋勲/堤明彦クラス3位/総合9位
#15「岡部自動車ディクセル Z」長島正明/小松一臣クラス4位/総合11位
#19「高見沢整骨院☆真東☆TC神戸Z33」高見沢一吉/池上慎二/輿水敏明クラス7位/総合26位
#777「屏風浦工業ニューテック-Z」福山英朗/DRAGON/吉田基良クラス9位/総合30位

PAGETOP