菅生の魔物は本当に棲みついている。
思い出したくもないが2010年は23号車がトップ独走中に残り数周で飛んできたタイヤカスがキルスイッチを切って電源が落ちストップ。2012年は予選2,3位だった23号車と12号車がスタートで揃ってトップを追い抜いたが1コーナー手前で同士討ちしてクラッシュ。2013年はトップ争い中の4台が1台のスピンをきっかけに一気に脱落。お蔭で7位走行中の23号車は表彰台。たまにはニッサンに微笑むこともあるが総じてニッサンに厳しい。
今回もトップS Road MOLA GT-R(46号車)の10秒以上のリードはセイフティカーが入りゼロリセット。抜かれて2位になってもトップと同タイムで走れていたのでセイフティカーが無ければ勝っていた。
またMOTUL AUTECH GT-R(1号車)も周回遅れに追突されたうえにカルソニックIMPUL GT-R(12号車)との接触でペナルティを取られた。12号車もこれまでペナルティを受けたことがほとんどない安田ドライバーが2度も黄旗区間で追い越しをやり、不可解な20秒、30秒のペナルティストップを受けた。
GT300のB-MAX NDDP GT-R(3号車)も追い上げて10位前後で走っていたが、ピットイン時の混乱の余波を受けピットレーンの赤信号でも止められ、10番台後半に押し下げられた。その後高星選手が頑張り8位まで挽回したのでセイフティカーが無ければと悔やまれる。
これらは魔物の仕業以外の何物でもない。
そういう中でD’station ADVAN GT-R(24号車)は富士戦を髣髴とさせる落ち着いたレース運びで、最後に大樹選手が狙いすました乾坤一擲のアタックで6号車を抜いて3位表彰台を獲得した。残り周回数や相手のタイヤ状況を踏まえて駆け引きに勝ち、1コーナーでの大外刈りは見事であった。
菅生での戦略は、残り2戦のタイトル争いに加わる為に、比較的ハンディの少ない46号車,24号車はリスクオンで優勝狙い、ランキング上位の12号車、 1号車はリスクオフでライバルよりも上位でゴールする事であった。
結果はQF1大樹選手がトップ、QF2本山選手が自らのコースレコードを書き換えてのポール、決勝でも表彰台に46号車と24号車が載り、1号車は6位で目標は達成した。だが、12号車のノーポイントとリスクオフの2台がリスクオンになって結果としてペナルティを食らったのは想定外であった。
しかし12号車は依然としてランキングトップだし、46号車が3位タイに浮上し、1号車は踏まれても叩かれてもしつっこく5位にいる。24号車も8位に浮上してきた。こうなるとハンディを超えて常に速いGT-Rによる念願のタイトル争いが実現出来そうであるがさてどうなるか。
今年の性能調整は燃リスよりウエイトが効く傾向にあるので、次戦ハンディが半減することで、燃リスは12号車のみでウエイトはライバルに対して軽いから12号車有利であるし、また昨年まで終盤の肝心な時にペナルティを貰ってきたJP選手が今年はまだクレバーで冷静なドライビングスタイルを維持しているので一歩抜け出しているかもしれない。こう書きつつ最終戦で4台のGT-Rすべてにタイトルの可能性を残したいのが本音である。
鈴鹿1000キロで10号車を優勝に導いた千代選手は、今回はレギュラーで参戦している欧州の強豪の参戦するブランパン耐久シリーズ最終戦に臨み見事チャンピオンを獲得した。日欧を駆け巡り確実に力をつけて強いドライバーになってきている。
従って今回は菅生には居なかったが千代選手に☆3つ。終盤に富士と同じことをまたやってくれるのではとの期待にキッチリ応えた大樹選手に☆三つ。若手の活躍にベテランもうかうかして居れないかな・・・・