ルマン24時間レースの翌週開催となったSUPER GT Rd.3タイ戦は、諸般の事情で総監督は現地に赴かず、SUPER GT始まって以来初めてのTV観戦となった。TV観戦は客観的にレースを見ることが出来、また抜きつ抜かれつの凄味と迫力に溢れたこのレースの魅力を堪能でき、大変有意義であった。

土曜日午前中のフリー走行ではGT500、GT300クラス共にGT-Rが上位を席巻し楽勝かと思われたが、午後の予選になってGT500のQ1突破は46号車(S Road MOLA GT-R)のみで他は下位に沈んでしまった。路面温度が60℃以上に大きく上昇した以外は特に原因は見つからず頭を抱えてしまった。

しかし、最高速はGT-R勢が速いこと、路面が昨年以上に滑りやすいこと、フリー走行時のタイム差も小さかったこと等を考慮すると、路温に敏感なタイヤのコンパウンド、走行中に上がってくるタイヤ内圧及びクルマのダウンフォースの総合的な影響だろうとの結論で、セットアップを変えて決勝日朝のウオームアップに臨み、狙い通りの速さに戻った。

果して決勝では、46号車が優勝(予選3位)、12号車(カルソニックIMPUL GT-R)が4位(予選11位)、1号車(MOTUL AUTECH GT-R)が5位(予選13位)と予選順位からすると大幅に順位を上げてポイントを獲得した。

46号車本山選手と38号車立川選手の最多勝利数を懸けた意地の張り合いはとても見応えがあった。本山選手は熱くかつ冷静な走りで1位をもぎ取り「まだまだ、いける!!」と思わせてくれた。引き継いだ柳田選手もピットワークで築いたリードを守り切って46号車をゴールまで運び、かつて常勝コンビであった柳田選手+MOLAチームが2年7か月ぶりの優勝を飾った。

1号車はクインタレッリ選手が7位まで順位を上げ、ピットワークで更に押し上げ、松田選手は36号車と3位争いをしていたが、昨年の接触事故で1ポイントしか取れなかったのが頭にあったのか慎重に対応している間に後続に迫られ、GT300の処理に手間取った一瞬に17号車、12号車に抜かれて5位で終えた。ポイントリーダー37号車より上位で6ポイントとれたので予選結果から考えると上出来である。

12号車も予選では苦労したが、決勝で追い上げ4位でゴールした。JP選手が1号車を抜いた時は、あの時しか無いワンチャンスをものにしている。タイの様な抜き難いサーキットでは焦って接触の多いJP選手だが、レース後の顔と声は満足感に溢れていたので、何かを学び大きく成長したのだと思った。

24号車(D’station ADVAN GT-R)は最終的にターボトラブルで昨年のパフォーマンスを発揮する間もなく終わった。オルドネス選手にとっては今年最後のGT500の参戦だったので好成績で終えたかったが、それもままならなかった。ただ実力は備えているので来年以降再びチャンスがあると思っている。次戦からクルム選手が戻ってくるので捲土重来を期す。

尚、GT-R勢のピットワークが早いのはクルーの確実で早い作業と同時に、出力で圧倒しながら燃費に優れるので給油時間が短い事も貢献している。

GT300は、3号車(B-MAX NDDP GT-R)、10号車(GAINER TANAX GT-R)が他を圧倒し順位は入れ替わったが富士に続き1,2位を獲得した。10号車はエース千代選手が同時期に開催された欧州のブランパン耐久シリーズに出場しており富田選手が代役で活躍した。ブランパンでも千代他で6時間レースを制しており、NISSAN GT-R NISMO GT3はバサーストに始まり、SUPER GTブランパンとグローバルに大活躍である。長谷見監督及びベテラン(?)一樹選手の指導宜しきを得て、若手の千代、高星選手の台頭はGT500のレギュラー選手にプレッシャーを掛けるのでとても良い方向に進んでいる。

次戦富士は、GT500、GT300のGT-Rによる3戦連続のダブルウインが懸かることになる。シリーズランキングも両クラス共に上位を占めているので、中盤戦ではあるがタイトル獲得に向けしっかりと戦いたい。

今回は、本人は照れて辞退するかもしれないが本領発揮で最多勝に並んだ本山選手と、まだ壊れる時があるが誰もが認める高性能エンジンを開発したNISMOのエンジン部隊に☆三つ

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