新富士スピードウエイの過去最高の観客を集めた大会で、NISSAN GT-RがGT500、GT300両クラスで1位,2位を占めた。GT-R有ってのSGTと言われてきたので多くのファンの前で活躍できたのが何より嬉しい。

両クラス共にオフのテストから手応えを感じてきたが、初戦は天候に振り回されて思うような結果が出ず、少し不安な気持ちが生まれてきた矢先に計画通りの好結果が出てほっとしている。安定した好天気では純粋にクルマの実力が発揮され、波乱要因としてはモノが壊れる以外は、他車との接触やルール無視によるペナルティ、ピットワークミスなど人為的なものである。

GT500ではその一歩ぬきんでたGT-Rの1号車(MOTUL AUTECH GT-R)と12号車(カルソニックIMPUL GT-R)がフリー走行から1位,2位を占めて接戦を展開した。予選Q2では先にタイムを出したロニーをJPが追いかける形になり、セクター1、セクター2共に1/1000秒の単位まで同タイムという信じられないシーンもあった。

結果としては1号車が完璧な仕事をこなしてフリー走行、予選、決勝と他を圧倒して完全優勝を果たした。12号車もテールトゥノーズで快調に走り、ウエイト8s差の影響と路温が下がってからのMIとBSタイヤの性能差が出てやや遅れたが、500q走って10秒差の2位であった。

ピットワークも3位に入ったレクサス36号車の1回目のピットワーク50秒強に対し、1号車43秒6、12号車43秒8で緊迫の競り合い演じた。これほどタイム差が無いというのはほぼ限界のピットワークという事になる。

46号車(S ROAD MOLA GT-R)及び24号車(D’station ADVAN GT-R)は両方ともに他車との接触やタイヤトラブルに見舞われたが最後まで諦めないで10位、11位まで追い上げた。46号車は勝つポテンシャルがあるのだから当然としても、24号車はニュータイヤの経験不足ながらQ2で5位に入ったルーカスのこれからに期待したい。

GT300はモニターに映った一樹の激闘と2位表彰台は記憶に残る名シーンとして後世まで語り継がれるであろう。通常であれば楽に優勝出来た3号車(B-MAX NDDP GT-R)なのでタイヤトラブルで遅れたお蔭で巡ってきたチャンスであり、それをキチンとモノにするところは流石にお父さん譲りの運を持っている。

一方で勝った10号車(GAINER TANAX GT-R)は忍者のごとくするするといつの間にかトップに立って優勝してしまった。500qレースの戦略で重要なのは、GT500でいうと約230リットルの燃料を使うがタンク容量は100リットルなので、それをスタート時、1回目のピットイン時、2回目とそれぞれどう振り分けるかがチームの戦略となる。10号車は装着するタイヤが少し暑さに弱いということで、ほとんどのチームのとる戦略、ロングスティンを早めにやり、涼しくなった最後は柔らかいタイヤで短いスティントで勝負に出るという戦略の逆をいき見事にハマった。燃料が少ないと軽いのでスタートダッシュが効くとか、ドライバーの義務周回数もあるが、GT300はGT500より約10ラップ周回遅れになるのでそこを見極めたチームもすごい。

GT-Rの実力はGT500、GT300を問わず他を凌駕していることを証明できたので、両クラスのタイトル奪取に向けて自信と気概を持って今後のレースに臨みたい。

勿論SUPER GTは速いクルマが勝ち続けられないウエイトハンディ制を強いているし、今年はウエイト感度が高い(重くなる程遅くなる)様に思うので、ウエイトの下りてくる最後の2戦を見越して、着実にポイントを重ねていきたい。そして各レースでは相対的に軽めのGT-Rが必ず表彰台の一角を占めて行く事を目指す。そうなると次戦タイ戦は24号車、46号車の出番である。

今回の結果はこれ以上望めない好結果であったので、☆をつけたい人が沢山いる。特に完璧なレース運営をやったドライバーやメカニック、トラックエンジニア達。

しかしここは昨年来の新規則の元、GT-R優位の地位を築いてきた空力デザイナー山本義隆に取って置きの☆5つ

PAGETOP