いよいよ新規則2年目となる2015年がスタートした。GT-R勢は1号車(昨年は23号車/MOTUL AUTECH GT-R)がディフェンディング・チャンピオンとして、他も連覇への一翼を担いたいとの意気込みで臨んだが、敢え無くライバル他車の返り討ちにあう結果となった。

我々は連覇へ向けて気持ちを引き締めて用意周到な準備を行い、シーズンオフのテストも順調であった。昨年は速さは他を圧倒していたが部品やエンジントラブルが多く、最終戦までチャンピオンシップ争いがもつれ込んだので、先ず耐久信頼性を上げることに力を注ぎ、それは計画通りに達成できた。次にライバル車も当然速さを増してくるので、速さも磨き速いレース車に仕上がった。

またドライバー2人で戦うSUPER GTでは、クルマのセットアップやタイヤなどはお互いの好みが違うのでその合せ込みに協力が必要だし、厳しいレースを乗り切るにはスタッフを含めてチーム一体となる必要が有る。その為に1号車の次生/ロニー、12号車(カルソニック IMPUL GT-R)の安田/JP、46号車(S Road MOLA GT-R)の本山/柳田のコンビはそのまま維持した。24号車(D’station ACVAN GT-R)は日産/NISMOにとってもう一つの大切なルマン・プロジェクトの関係で大樹/ルーカス/クルムという変則的な組合せとなったが基本は同じである。

この様に準備は万端怠りなかった筈であるが、GT-R系チームは初戦で12号車の7位が最上位という惨敗を喫してしまった。それは天候の変化に翻弄され、その時々のタイヤ選択を間違えたことが原因である。

ウエットタイヤは、ソフト系は雨量の多い時に、ハード系は雨量が少なく湿った路面の時に良くグリップするが、その程度はゴムのわずかな硬さの差やメーカー毎に微妙に異なっている。装着するタイヤはチームが判断するが、今回はレース中に雨量が変化しその度に同じクルマが速くなり遅くなりして、順位が頻繁に変わった。

GT-R勢は天候の推移を読むのに様々な情報を活用しているが、今回は読み過ぎで天候は快方に向かうと判断し、2スティント目をハード系としたことが裏目に出た。

1号車は予選4位からスタートして間もなくトップに立ったが、リアブレーキトラブルでピットインを余儀なくされた。雨だったのでブレーキの温まりを早くするためダクトの一部を塞いだが、作業性の為に一部改良したのが条件によっては改悪になっていた。「より良いことは良いことの敵である」という格言がまさしく的中したことになる。

12号車は、午前中走り始めて直ぐ共通部品(全車同じモノを使っている)の排気キャタライザが破損して火災を起こし全く走れず、いきなりのQ1であったが、怪我でオフのテストが出来なかったJPに代わり安田が走り込んだ腕を発揮し、Q2進出を果たした。しかしJPの4輪脱輪で予選8位からのスタートとなり、一時表彰台圏内に浮上したが雨量が増えてハードタイヤが合わず7位となった。

46号車は、本山が予選10位から一時3位まで追い上げたがタイヤの関係で早めのピットインとなり、お蔭で燃費との戦いを強いられた柳田が健闘し、ピットミス分も取り戻して8位でゴールした。今迄であれば混乱して終わるところを昨年より上位で終えられたので、今シーズンは期待できる。

24号車は、ルーカスにとって初めてのGT500が岡山のウエットだったのが響いた。

結果は散々だったが、レース中アトウッドカーブの立上りから裏のストレートでGT-Rは明らかにライバルを凌駕していた。エンジン性能の向上とダウンフォースを維持しながらドラッグを減らす空力性能向上という開発の狙いは達成しているので、次戦以降再びチャンピオン街道をひた走ります。

今回はGT-R勢を代表して総監督に×3つ。

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