青く、あくまでも高く抜けるような秋空のもと、最終戦までもつれ込んだ5台によるチャンピオンシップ争いは、フリー走行の時点から多くのファンが注視する中で手に汗を握る展開を見せた。そして新規則の特徴である轟くような或いは低く空気を切り裂くサウンドと共に栄冠を手にしたのはポールトゥフィニッシュの23号車のMOTUL AUTECH GT-Rであった。

GT-Rのチャンピオンはこの4年間で3度目であるが、23号車は実にR35 GT-Rがデビューした2008年以来6年ぶりとなる。新規則や新車の投入時には日産車が制覇するというジンクスは今回も守られた。

とりわけ今年の戴冠には大きな価値がある。新規則には二つの特徴があり、先ずグローバル社会を踏まえドイツのDTMとの共通化を図った。また低炭素化社会の実現に向けてSUPER GTを炭素の排出を抑える、即ち燃費の良いエンジンの開発競争にし、同じ燃料で如何に高出力を出すかを生産車技術でも主流である4気筒直噴ターボエンジンで競うことにした。

そしてそれに我々は勝ったのである。その意義を象徴するかの様にこの逆転チャンピオン劇は翌日の「東京中日スポーツ紙」の一面を飾った。

GT-Rが自力でチャンピオンを獲るには、1、2位に12号車(カルソニック IMPUL GT-R)か23号車のどちらかが入り、2位をGT-Rで押さえることで1位を獲った方がチャンピオンとなる。23号車は2位に51秒の差をつけて圧勝した逆転チャンピオンであったが、2位に37号車が入り、これが37号車より予選上位に居た36号車であれば36号車がチャンピオンとなる際どいものであった。レース中盤までは46号車(S Road MOLA GT-R)が2位でサポートする形になったがペナルティで遅れてしまい、23号車は孤軍奮闘になったにも関わらず今シーズンのGT-Rの速さを誇示しながら最後までペースを落とさず歓喜のゴールを迎えた。結果、次生はフォーミュラニッポン、SUPER GTの両タイトル覇者となり、ロニーはこの4年間で3回のチャンピオンを獲ったことになる。

12号車はスタート直後のオリベイラのクラッシュで早々に権利を喪失した。

スポンサーのカルソニックカンセイから多くの応援団が駆けつけていたし、近年でタイトル獲得の最大のチャンスであっただけに残念である。

24号車(D'station ADVAN GT-R)はタイ戦に引き続き快調を維持し、ポールも期待できる予選をギアボックスのトラブルで14位で終えた。しかし決勝は追い上げて4位に入りその好調さを証明したので来シーズンがとても楽しみである。暑いタイ戦、寒いもてぎ戦と横浜タイヤの復活は本物であり、「後半戦には来るぞ」と言い続けていた筆者としてもホッとしている。また後半になっての大樹の著しい成長もこれからが楽しみである。

46号車は予選2位で23号車チャンピオンのシナリオ実現の理想的な形が出来たが、他車との接触とペナルティで遅れそれでも5位まで挽回した。今年メカニカルトラブルが続きなかなか完走出来なかったが、最終戦は来シーズンを期待できる形で終えられた。

3号車(B-MAX NDDP GT-R)は、車両規則で仕様的に厳しい最終戦も8位完走しランキング4位を維持した。昨シーズンはトラブル続きであったが今年は完走率が上がり、優勝もしたので来年はチャンピオン争いに加わるであろう。

新規則初年度で速いGT-Rの開発をしたNISMO開発陣、チャンピオンを手繰り寄せたドライバーを含む23号車のスタッフ、昨年やや苦手とした低温路面を完璧に克服しもはや死角の無くなったミシェランタイヤに☆三つ

結果が出ても出なくてもそれに関係なくいつも応援して頂いて、チームに力を与えて下さった日産応援団のファンの方々に ☆三つ++。

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