第7戦オートポリス戦は、今シーズンのGT-R勢のちぐはぐなレース展開を象徴していた。

今年6戦中3戦もトップに立ちながら、2回のドライブスルーペナルティを含むミスやトラブルでレースを失ってきた1号車(REITO MOLA GT-R)も4位という結果を出し、タイヤとのマッチングに苦しんできた24号車(D'station ADVAN GT-R)は前戦富士300kmに引続き入賞し6位に入った。

一方で、今まで苦しい中粘りに粘って結果を出してきたランキング2位の12号車(Calsonic IMPUL GT-R)はドライバーのミスでリタイヤに追い込まれ、同3位の23号車(MOTUL AUTECH GT-R)はあろうことかピットワーク違反のドライブスルーペナルティを喰らい8位が精一杯であった。
1、24号車と12、23号車の今までの立場がまるで入れ替ったかのような結果である。

今回は雨と霧で土曜日の予選が中止され、決勝日の朝の25分間で予選が行われた。当然初めてドライで走ることになりセットアップはぶっつけ本番である。それに12号車と23号車は新しいエアロパーツを投入しているので風洞の結果だけを信じての予選であった。そういう中上位5台のうちGT-Rが3台を占め、今年一番の好結果で決勝も大いに期待された。しかし決勝ではミシェランタイヤ(MI)、ブリヂストンタイヤ(BS)共にピックアップ問題に苦しみ、GT-Rもそれに翻弄された。SUPER GT用のタイヤの走行距離は精々200kmくらいなので、タイヤの磨耗も早い。ということは多くのタイヤかすがコース上に散らばり、このタイヤかすを再びタイヤが拾ってグリップ力を低下させるのがピックアップ問題である。このタイヤかすはレコードライン以外に溜まってしまうのでGT300を抜く為にレコードラインを外すとピックアップがひどくなる。ぶっちぎっていた38号車が同じBSタイヤの36号車に逆転されるほどピックアップの影響は大きい。メカニズムはまだ明確ではないが路面温度が低下するとひどくなる傾向で、オートポリスのコースで出やすい。

ピックアップ問題やピットワーク、ドライバーのミスを除けば、予選結果が示すようにGT-Rのポテンシャルは確実に上がっている。それは新しいエアロの効果、新規エンジンの特性改善がドライバーのフィーリングに確実に現れていることで実証された。

GT-Rのハード面のポテンシャルは上がったのにソフト面でミスをして、最終戦にはトップに11点差で臨む事になったが、ソフト面は人の問題だから気持ちで立て直せるし、エンジン特性に更に一工夫加えるのでハードの改善も進み、ピックアップ問題ももてぎはそれほどひどくはないから十分逆転チャンピオンは可能である。

また23号車ドライバーによるチャンピオン3連覇は2連覇があるから可能なわけで、SUPER GTの将来においても最後のチャンスかもしれない。

歴史に残るかも知れない挑戦にスタッフやドライバーは最後の最後まで武者震いしながらベストを尽くす積りでいる。

ファンの皆様の熱い応援をお願いします。
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