#23「MOTUL AUTECH GT-R」、今季2度目の3位表彰台

晴天で始まった第4戦決勝は、終盤に天気が崩れたことで大きなドラマを生んだ。予選11番手からスタートした#23「MOTUL AUTECH GT-R」(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)は、2人のドライバーが難しいコンディションをミスなく粘りの走りを見せて順位を挽回。今季2度目の3位表彰台を獲得した。

予選日の夜も激しい雨は降り続き、決勝日の朝はまだ路面に水が残っていた。曇り空、ウェットコンディションで行われたフリー走行では、濡れた路面に足元をすくわれるマシンが出て赤旗中断が相次いだ。#23 GT-Rはこのフリー走行で9番手タイムを記録。決勝に向け、さらにマシン調整を重ねていった。

SUGOでは雨予報も出ていたが、昼前頃から日差しが出はじめ、決勝レースがスタートする時点では気温27℃、路面温度は41℃まで上昇した。前半スティントを担当するクインタレッリはクリーンなスタートを切ると、序盤は前を走る#24 GT-Rと9位争いを展開。ペースに分はあったものの、コース幅の狭いSUGOではオーバーテイクのチャンスを十分につかめず、両者の激しいバトルは数周以上にわたった。19周目のハイポイントコーナーでようやく前に出ると、みるみると#24 GT-Rを引き離していった。しかしこの戦いで想定以上にタイヤを消耗することになった#23 GT-Rは、30周を終えたところでピットイン。柳田にドライバー交代し、タイヤ交換を行った。

12番手でコースに戻った#23 GT-Rは、フレッシュなタイヤで安定したペースを保って走行を続けていたが、レース中盤に雲行きが怪しくなり、雨が降りはじめる。これでペースを落とすクルマ、レインタイヤに交換するためピットに戻るクルマ、さらに挙動を乱してクラッシュするクルマも続出した。#23 GT-Rもいったんはタイヤ交換の指示を柳田に伝えるが、柳田は「ここでピットに戻ったら上位入賞のチャンスがなくなる」と、ステイアウトを決断。ちょうど雨も小康状態に入り、大きくペースも下がることがなかったため、#23 GT-Rは3位まで浮上。開幕戦以来の3位表彰台を獲得した。


#23 GT-Rドライバー 柳田真孝
「予選結果から考えれば、奇跡の3位だと思います。しっかりとフィニッシュしないとこの結果は出なかったと思うので、価値ある3位です。僕のスティントで雨が降ってきたので、タイヤを替えようと一度ピットに呼ばれましたが、ここで入ったらもうチャンスがなくなると思ったし、ちょうどそのタイミングで雨も少し止んでタイヤのグリップも回復してきたのでコースに残ることにしました。少し路面が濡れていた時はすごくいいペースで走れていたので、次戦に向けて、昨日の予選を含めて細かいところを改善し、鈴鹿では絶対に勝ちに行きます」
#23 GT-Rドライバー ロニー・クインタレッリ
「最後の最後に優勝できるぐらいの位置にいたので悔しい気持ちもありますが、運やチームワーク、粘りといったもので得られたこの3位という結果は最高だと思います。クルマの調子は最初から良かったのですが、#24 GT-Rとのバトルでタイヤを傷めてしまいました。そこからはタイヤもセーブしながら走り、規定最低周回数に近いところでピットに入ることになりましたが、マーはニュータイヤでいいペースで走っていました。いろんなドラマがあった結果の3位というのは十分です。しかし、この結果のおかげでチームのみんなが後半戦に向けて、開幕戦の時のような自信を取り戻すことができました。この調子で鈴鹿に向けてもっとクルマを速くして、次は運ではなく、実力で勝ちたいと思います」
ニスモ鈴木豊監督
「ラッキーな展開になりました。正直なことを言うと、SUGOは抜きづらいので3つか4つポジションが上がればいいところかなと思っていましたが、ここは何が起こるかわからないサーキットでもあるので、ひとつひとつ、自分たちができることを確実にやっていこうと思っていた結果、思わぬラッキーな展開になったので、みんな喜んでいます。昨日までがあまりいい流れではなく、『気持ちを切り替える』と言いつつも結果に引きずられている部分がありました。しかし今回の結果はこの流れをいい方向に変えるきっかけになったのではと思います。後方からスタートしている分もあって実力を発揮できないもどかしさはありましたが、上位陣のタイムを見ると、やらなければいけないことはたくさんあると感じました。先日の鈴鹿テストや今度の富士テストでいろいろなアイテムを用意しているので、いいものを見つけて少しでも戦闘力を上げ、次戦鈴鹿1000qに挑みたいと思います。応援ありがとうございました」


#3「S Road NDDP GT-R」、2戦連続ポイント獲得

FIA GT3勢トップの予選5位からスタートした#3「S Road NDDP GT-R」(星野一樹/佐々木大樹)は、レース序盤には3番手までポジションを上げていたが、途中で他車との接触によるドライビングスルーペナルティを課せられ後退。しかし最後まで粘りの走りを見せてポジションを回復して9位でフィニッシュ。2戦連続でシリーズポイントを獲得した。

スタートドライバーを務めた佐々木は、序盤は4番手を走行。好ペースで後ろに続くマシンをおさえこみ、上位をキープした。コース幅が狭く、1周の距離も短いため、GT500との接近も非常に多くなるSUGOでの初レースで、安定したペースを保ってレース距離の半分以上となる39周を終えると、ピットに戻り星野にドライバー交代。#3 GT-Rは14番手でコースに復帰した。前後を走るマシンに比べハイペースの#3 GT-Rはその後9位まで順位を押し上げ、雨の降りはじめたレース中盤には6位まで浮上していた。しかし、前を走る#86ランボルギーニと58周目に接触。この接触によりドライビングスルーペナルティを課せられた。接触の際にマシンにダメージも負い、コース復帰後も思うようにペースを上げることができなかったが、星野は最後まで粘りの走りを見せて、残り2周で前の車をオーバーテイク。9位でフィニッシュし、2戦連続でポイント獲得を果たした。


#3 GT-Rドライバー 星野一樹
「ドライバー交代してすぐの時にはタイヤが厳しいかもしれないと思って抑え目に走りはじめましたが、自分のペースが周りに比べていいことが分かってからは、プッシュしていきました。雨も降りはじめて、みるみる前のクルマに追いついてきたので何台かをパスしましたが、ランボルギーニを抜くときに、1コーナーで当たってしまい、ペナルティを受けることになってしまいました。雨でみんながピットに戻る中、『まったく走れなくなるまではピットに戻らない』と思って順位も上げていけていたのですが、そのチャンスを活かすことができず、残念です。同じことのないよう、次の鈴鹿も頑張りたいと思います」
#3 GT-Rドライバー 佐々木大樹
「序盤はタイヤを必要以上に消耗させることもなく、いいペースで走れて順位もキープできていました。GT500がピットから出てくるあたりで集団になり、行き場がなくなって順位を下げてしまいましたが、走りの面ではちゃんと仕事ができていたと思います。SUGOで初めてのGTレースでしたが、GT500との混走という点で一番難しいレースでした。その中で当たらずに戻ってこられたのは良かったですが、走ることだけでなく、タイヤの状況などももっと上手く伝えられるように、鈴鹿でも頑張ります」
NDDP RACING長谷見昌弘監督
「前半スティントを担当した佐々木のコメントでタイヤの4本交換を決めましたが、結果的には交換しなくても戦える状況でした。佐々木のスティントはペースも良く走り自体はいいものでしたが、まだ状況をチームに伝える表現力という部分に課題がありますね。また、星野はペナルティをもらってしまい、接触の影響でペースも落としてしまいました。少しずつ、いろいろな物事が狂ってしまった結果で順位を下げることになってしまいましたが、今回の反省を踏まえて次戦も頑張っていきたいと思います」
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