GT-Rは今シーズン5戦目にしてやっと今シーズンの初ポール、初優勝を果たした。4年ぶりに1000kmに戻った長い鈴鹿で1、3、4、5位と4台とも上位で完走し、タイトル奪還へ巻き返す後半戦の初戦を制したことで、日産陣営に大きな勇気と自信を与えてくれた。

鈴鹿1000km(173ラップ)ではピットイン回数が戦略上の重要なキーとなる。100リットル燃料タンクの有効量が96リットルだと、現在のエンジンの燃費では35ラップ(±1ラップ)×5スティント=173ラップが限界であり、即ち4回のピットストップで終えようとすれば、きっちりと35ラップずつのルーティンで走る必要がある。一方で6スティント、即ち5回のピットストップとなると1回のピットストップロス60秒分を走行ラップタイムで稼ぎ出さねばならないが、ピットインのタイミングには余裕が生じる。

このどちらの戦略をとるかで各チームは迷うことになる。過去を振り返ると鈴鹿1000kmでは様々なアクシデントや、予想外の天候変化があって順調にレースが進んだことはない。よって日産陣営はタイヤなどの条件を考慮し、12号車(カルソニック IMPUL GT-R)、23号車(MOTUL AUTECH GT-R)は6スティント、1号車(S Road REITO MOLA GT-R)、24号車(D'station ADVAN GT-R)は5スティントを基本とするが、状況変化に対応して都度戦略を変更していくことにした。 事実関係は分からないが、他2社は5スティントが基本で、1スティント35ラップを維持するために無理に走り続け、タイヤなどにトラブルが生じたようにも見えた。

レースでは2回のセイフティカーの導入など波乱があり、我々関係者は心臓をわしづかみされている様な緊張感の連続であったが、ファンの方々から見ればエキサイティングで面白いレースだったと思われる。12、23号車はこの波乱と小さなトラブルに対しピットインのタイミングをずらしながら対応し、予定通りの6スティントで終えた。1、24号車は予定外のピットインを強いられ6スティントとなったが、5スティント計画でマージンを持っていたので総合優勝、3位という成績への影響は無かった。

前半戦4戦のレース展開と異なり、一時上位4位までを独占する勢いがあり、レースの流れが日産勢に来ていることを実感した。それは何で?どうして?という前半戦の不甲斐ない結果にもめげず、ドライバーやチームスタッフ、開発陣が続けてきた地道な努力がいよいよ報いられる時が来たということである。残り3戦でもこの勢いを維持する願いも込めて、日産陣営関係者全員へ○3つ。

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