

さてMOTUL AUTECH GT-R(23号車)は予選4位、決勝も一時トップに立ったが最終的には4位で初戦を終えた。GT-Rの速さは事前テストで好調を伝えられ、総監督である筆者も自信の程を語ってきたので大いに期待されたファンの方々は多いと思われるが、タイヤ準備の戦略ミスで優勝出来なかったことを素直に謝りたい。
レースに装着するタイヤは約2週間前にレース週の路面温度を予想しながら決める。GT-Rの速さが確信できる中では冒険をする必要はないから常識的に、最新の情報や過去の実績から路面温度を25℃前後と推定し、確実に1回のピットストップで行けるハード系のタイヤを選択した。ところが初戦の週末だけ寒冷前線に見舞われ低路面温度(15℃程度)となり、23号車にとって厳しい条件であったが予選では何とか4位を得た。一方で予選上位の中には明らかにソフト系のライバル車がおり、路面温度が上がる決勝では勝てると見ていたが、決勝でも路面温度は15℃から上がることなくソフト系が有利になってしまった。
それでも本山選手は攻めと守りにメリハリをつけてタイヤをマネジメントし、無線で「これからアタックする!」と伝えてから2位、1位と駆け上った。速く、強い本山らしい走りだった。本山から替わったクルムは低グリップに悩まされ順位を下げたが、3年ぶりの岡山国際サーキットとBSタイヤで荒れた路面と低い路温に対応するのは難しかったようだ。一方でクルムは予選アタック中に、1速、2速を失い3速以上しか使えない中走り方を変えて厳しい予選Q2をクリアする高い順応性を示している。またこの1速と2速は予選Q3まで20分間しかなかったが、皆さんご存知の小笹ギアボックス担当が「直す!」と宣言して他のスタッフと協力して直してしまった。
クルムもこれからは高い順応性を発揮して今回の経験を生かすだろうし、優秀なスタッフも揃っているので、次戦富士ではGT-Rの真の実力を発揮して総合優勝出来ると確信している。
