

一方でドライバーはまたタイトル争いのくびきから解放されてもいる。従ってコーナーでのせめぎあいや追抜きを掛けた際に寸止めの我慢が不足し、シーズン中よりも接触や事故が多くなる。
事実、普段GT500同士では余りない事故が多く見られた。そういう中23号車(MOTUL AUTECH GT-R)は久しく接触事故の無かったブノワ選手、本山選手ともに接触に絡んで順位を下げてしまった。ただ本山選手が受けたペナルティには納得しがたかったが、判定は尊重すべきと思い従った。それでも来シーズンを見越した時に、この事故やペナルティにも収穫があった。
本山選手はシーズン後半、目覚しい活躍をした。それはかなりアグレッシブで、最後まで諦めない攻めの走りが復活したからである。レースは戦いであるから、順位争いで攻める側と守る側の戦いはオーラの強い方が有利になる。このペナルティは上品なドライビングから脱して再び強く厳しい本山選手が戻ってきたことを他のライバル達にはっきりと指し示す狼煙となった。来シーズンは本山選手のオーラがサーキットを席巻すると思われる。
また我々は既に来シーズンの準備に入っているので、特にタイヤのパフォーマンスに注意しながらレースに臨んだ。ミシェランタイヤを履くチャンピオン46号車(S ROAD MOLA GT-R)は、予選でフロントローを得てそのまま逃げ切るという今年の勝利の方程式でまたも優勝と2位を得た。ブリヂストンタイヤを履く12号車(カルソニック IMPUL GT-R)や23号車もタイヤのパフォーマンス自体は大きく改善されてきており、あとは予選で上位につければ46号車を十分凌駕出来そうである。
本来は門外漢であるタイヤについて今年ほど勉強したことはなかったが、その成果が後半戦に生きてきたので、来シーズンも今年以上の結果を出して応援して頂いている多くのファンの方々の期待に応えたいと心している。
