「HASEMI TOMICA EBBRO GT-R」、フロントローから今季2勝目を狙う

6年ぶりコンビ復活の#1 GT-Rはセッション3進出を惜しくも逃す
真夏の恒例イベント“鈴鹿1000km”は、今年は700kmレースとして開催されることとなった。「MOTUL AUTECH GT-R」(#1)は、今回出場できないブノワ・トレルイエの代役にFIA GT選手権でGT1仕様のNISSAN GT-Rをドライブしているミハエル・クルムを起用。クルムと本山哲のコンビネーションは03年以来実に6年ぶりとなった。前のラウンド・SUGOで今季2勝目を挙げポイントリーダーの#1 GT-Rは86kgというウェイトハンディを搭載。シリーズ3位の「HIS ADVAN KONDO GT-R」(#24ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/荒聖治)も74kgで重量的には厳しい。また「HASEMI TOMICA EBBRO GT-R」(#3ロニー・クインタレッリ/安田裕信)、「IMPUL カルソニック GT-R」(#12松田次生/セバスチャン・フィリップ)は52kgのハンディで鈴鹿に臨んだ。

今回の予選は勝ち抜き形式となる“ノックダウン方式”を採用。予選開始から決勝スタートまでは5セットのタイヤが使用でき、またセッション2のドライバーはセッション3に出走できないため、ドライバー2名で予選を戦わなければならない。14時40分にまずは混走でセッション1がスタートした。気温31℃、路面温度40℃と蒸し暑い。約10分間の赤旗中断を挟んで15時30分からはGT500の専有枠。ここでは14台の中から2台が振り落とされる。#1 GT-Rは本山がステアリングを握りアタックし10位につけた。#24 GT-Rはオリベイラが9位、#3 GT-Rは安田が7位、#12 GT-Rは松田が4位につけGT-Rは全車がS2へ勝ち残った。

16時から10分間のセッション2が始まった。ここでは12台のうち4台が振り落とされる。短いセッションながら#3 GT-Rの安田が頑張り5位につけて勝ち残ったが、#24 GT-Rのオリベイラと#12 GT-Rのフィリップはわずかに届かず、予選はこのセッションで終了となった。#1 GT-Rの本山は終盤、セクター1からセクター2へ自己ベストを更新しながらセッション2突破を目指したが燃料系トラブルのためにデグナーあたりで失速してアタックを続けることを断念。残念ながら12位でセッション2を終了することになった。本山はセッション終了後汗を拭きながら「重いなりに苦労していますが、セッティングもタイヤのチョイスもいい方向に来ています。マイケル(クルム)に予選を走らせてあげたかったのでセッション3に進めず残念ですが、明日は後ろから追い上げて粘り強く頑張ります」と前向きに語った。


安田とクインタレッリの頑張りで#3 GT-Rがフロントローを獲得
16時30分からは10分間のセッション3。GT-Rのなかで唯一最終セッション進出を果たした#3 GT-Rは満を持してクインタレッリが登場。このセッションで使用するタイヤで明日の決勝レースをスタートしなければならないため、タイヤの磨耗を少なくするためにも一発のアタックを決めなければならない。セッション終了間際に渾身のアタックを決めたクインタレッリは、トップタイムにわずか0.057秒及ばず2位。セッション終了後非常に残念そうな表情を浮かべたクインタレッリだったが、今季初優勝を決めたセパンと同じグリッドを獲得することになった。「ポールポジションは取りたかったですね。クルマの調子は悪くないです。明日は安定した走りを続ければ優勝のチャンスはあると思います」とクインタレッリは既に決勝に気持ちを切り替えていた。

#24 GT-Rは10位、#12 GT-Rは11位、#1 GT-Rは12位と3台のGT-Rは後方からのスタートとなるが、決勝は普段の倍以上となる700kmの長丁場。「今朝初めて今年のGT-Rに乗ったときはFIA GTのクルマと全然違ってびっくりしましたが、身体の感覚も戻ってきていい感じです。鈴鹿は大好きなコースだしミスなく走りたい」とクルムも決勝が楽しみで仕方がなさそうだ。

18時30分から、30分間のフリー走行が行われた。たそがれ時にヘッドライトや補助灯がコースを煌々と照らす光景は幻想的だ。このセッションで#3 GT-Rは3位、#24 GT-Rは6位、#12 GT-Rは7位とまずまずのタイムを記録した。


ニスモ鈴木豊監督
「他のチームもそうだと思いますが、セッション2では柔らかめのタイヤをチョイスして本山で確実にセッション3まで残るつもりでいました。しかしアタックの途中で燃料系のトラブルが出てしまったようです。マシンの仕上がりは悪くなく、予選も確実に上位を狙う戦略で行ったのですが、トラブルで残れなかったのは残念です。マイケルは、初めのうちはFIA(GT選手権の)GT1仕様との違いに戸惑っていたようですが、すぐに勘を取り戻しました。セッション3で皆さんに彼の良い走りを見ていただくことができず、申し訳なく思います。明日は12番グリッドからのスタートになりますが、気持ちを切り替えて地道にじっくり、そして確実に1台1台抜いていき表彰台を目指します。もちろんチャンスがあれば勝つつもりでいます。暑く長いレースになりますが、応援をよろしくお願いします」

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