「MOTUL AUTECH GT-R」がSUGOで今季2勝目。
猛暑・降雨そして再びドライコンディションと目まぐるしく変化する厳しい条件の中、7月26日(日)に宮城県仙台市郊外のスポーツランドSUGOレーシングコース (1周3.704km)でSUPER GT第5戦決勝レース(81周)が行われ、6番グリッドからスタートした「MOTUL AUTECH GT-R」(#1本山哲/ブノワ・トレルイエ)が巧みなレース運びで終盤にトップに立ち、今季2勝目を挙げてシリーズランキングも1位となった。


ドライの序盤からGT-R勢が上位を走行
第4戦マレーシアラウンドで優勝を果たした「HASEMI TOMICA EBBRO GT-R」(#3 ロニー・クインタレッリ/安田裕信)は、猛暑となった公式予選で他を圧倒するタイムを記録してポールポジションを獲得。連勝をかけて決勝レースに臨んだ。開幕戦優勝の「HIS ADVAN KONDO GT-R」(#24 ジョアオ・パオロ・デ・オリベリラ/荒聖治)が予選3番手、第2戦富士の勝者である#1 GT-Rが4番手に続いた。スタート時の天気は快晴で、気温は31度にまで上昇していた。しかし、「暑い方がタイヤの性能を発揮しやすい」(長谷見昌弘監督)という#3 GT-Rにとって、南の方向から迫ってくる濃い雨雲が気になっていた。決勝レースがスタートすると、気温は徐々に下がり始め、あたりには雨雲が影を落とすこととなる。クインタレッリがスタートドライバーをつとめた#3 GT-Rは、8周目までレースをリードしたが、最終コーナー手前でバックマーカーに行方を阻まれ、#6 レクサスSC430に先行を許してしまう。しかし、#24 GT-R、#1 GT-Rと3台でトップを追う体制を崩すことなく序盤の周回を重ねた。

レースが転機を迎えたのは、26周目。サーキット上空を覆った雨雲から雨が降り出し、レインタイヤへの交換などでチームが取った作戦がその後のレースを大きく左右した。2位を走行しながらいち早くピットインした#24 GT-Rは、順位を落としたままその後浮上のチャンスを失い、後半には不調も重なって13位完走という結果であった。序盤レースをリードした#3 GT-Rは、他の車両が一斉にピットインするまでタイヤ交換を我慢。後半の長い周回を安田に託すこととなったが、レインタイヤでは順位を維持することが難しく、一時13位まで後退する。その後雨がやみ、スリックタイヤに交換して再度レースに復帰するとペースを上げ、9位で完走を果たした。


うまくタイミングを捉えた「MOTUL AUTECH GT-R」
午前中のウォームアップ走行で黄旗追い越しのペナルティを受け、6番グリッドから本山がレースをスタートした#1 GT-Rは、雨が降り出したあと29周目にピットイン。レインタイヤに交換し、一時10位にポジションを落とすが、各車が一斉にピットインした後は2位に浮上。トップを走る#6 SC430の後ろにつけ、逆転のチャンスを待つこととなった。雨が降っている間は間隔を広げることなく、しかしながら無理なプッシュを避けて周回。雨が上がり、コースの一部が乾きだした頃からペースをあげ、首位との差をジリジリと詰めて行った。そして、終盤の66周目、第1コーナーで#6 SC430を捉えると一気に抜き去り、その後引き離しにかかった。71周目には26秒差をつけ、#6にかわって#39 SC430が2位にあがっても寄せ付けず、21秒差をつけて81周目のフィニッシュラインをトップで駆け抜けた。今季2勝目を挙げた#1 GT-Rは、ポイントランキングでも首位につけ、チャンピオン連覇に向けて大きく前進した。

予選10位スタートの「IMPULカルソニックGT-R」(#12 松田次生/セバスチャン・フィリップ)は、序盤12位から上位車を追い上げる展開となった。次々に先行車をパスした松田は、雨が降り出した時点で7位へ。フィリップにドライバー交代した後もその勢いは衰えず、一時4位まで浮上した。しかし、その後雨の中#38 SC430と接触してドライブスルーペナルティを取られて後退。最終的には8位でチェッカーフラッグを受けた。



ニスモ監督 鈴木豊
「作戦が見事にあたりましたね。そして、ピットクルーもドライバーも全くノーミスでした。ピットインの時点で浅溝レインタイヤを選び後半に賭けましたが、雨が強くリスキーな時間帯もブノワは本当に良く我慢してくれました。そして、予想通りに雨が上がったのであとは作戦通りに攻めました。レーススタート前の暑い時も、あの大雨の中でも声を枯らして声援していただいた皆様のおかげです。本当にありがとうございました」
#1 GT-R 本山哲
「おかげさまで優勝することができました。難しいレースでしたけれど、序盤になんとか良いポジションでブノワに交代することができましたし、後半はブノワがものすごい走りでトップをパスしてあとはブッちぎるという、素晴らしいレースを見せてくれました。ブノワやチーム、そしてサポーターの皆さんに感謝します」
#1 GT-R ブノワ・トレルイエ
「皆さん、ありがとうございます。素晴らしいレースになりました。サトシ(本山)が良いスタートを切ってくれたし、チームの作戦はまさにパーフェクトでした。浅溝タイヤで激しい雨のレースを走るのはとても難しかったけど、なんとか耐えることができました。今回はみんなが良い仕事をしました。本当にチームの勝利だと思います」


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