「HASEMI TOMICA EBBRO GT-R」が独走優勝。
6月21日(日)にマレーシア・クアラルンプール市郊外のセパンインターナショナルサーキット(1周5.542km)でSUPER GT第4戦決勝レース(54周)が行われ、2番グリッドからスタートした「HASEMI TOMICA EBBRO GT-R」(#3 ロニー・クインタレッリ/安田裕信)は、ポールポジションを獲得した「MOTUL AUTECH GT-R」(#1本山哲/ブノワ・トレルイエ)に代わって序盤からレースをリードし、中盤以降は独走態勢を築いて今季初優勝を飾った。


3戦連続ポールポジションの「MOTUL AUTECH GT-R」
第3戦から一月半のインターバルを経て、SUPER GT第4戦は気温・湿度ともに日本の真夏以上となる厳しい条件下で行われた。公式予選が行われた20日(土曜日)の午前中は激しい雨が降り、そして午後には完全に路面が乾くほどの晴天となるなど、不安定な天候もセパンラウンドの特徴である。21日の決勝レース日も、いつ降り出してもおかしくない空模様だった。しかし、決勝レースは一度も路面が濡れることなくフィニッシュした。
40kgものウェイトハンディを搭載しながら3戦連続ポールポジションを獲得した#1 GT-Rは、本山哲が他の車両を引き連れて決勝をスタートする予定であった。しかし、ウォームアップ走行で駆動系に不具合が発見され、その修理のためにピットスタートとなってしまった。#1 GT-Rが抜けたのち、グリッド最前列につけていた#3 GT-Rは、クインタレッリがスタートと同時にトップを快走。その差を徐々に広げながら、危なげないドライビングで周回を重ねて行った。チョイスしたタイヤと路面コンディションもうまくマッチし、30周目にドライバー交代のためにピットインするまでラップタイムを大きく落とすことなく首位を守った。素早いピットワークでコースに戻ったルーキーの安田は、後輪2本しかタイヤ交換しないNSX勢が逆転を狙う中、交代直後から速いペースで彼らを引き離しにかかり、5周目には後続車に10秒以上のリードを築いた。そのまま力強い走りを続けた安田の#3 GT-Rは、一時最大23秒以上の大差をつけ、堂々と54周目のチェッカーフラッグをトップで駆け抜けた。


重量級ながら健闘が光った「HIS ADVAN KONDO GT-R」
2007年にフェアレディZで初優勝、昨年2008年もGT-Rでセパン連勝を遂げているKONDO RACINGの「HIS ADVAN KONDO GT-R」(#24 ジョアオ・パオロ・デ・オリベリラ/荒聖治)にも注目が集まった。しかし、本年は、開幕戦の岡山で優勝するなど早くから強さを発揮し、第4戦にして既に62kgものハンディウェイトを積んでいるため苦戦は免れないと予想されていた。ところが予選6位から決勝をスタートすると、オープニングラップで早くも3位にジャンプアップ。観客席の日産ファンは、おおいに盛り上がった。しかし、オリベイラから荒にドライバー交代し、終盤を迎える頃にはさすがに重い車体が影響しだし、最終的には5位でレースを終了した。

ピットスタートとなった#1 GT-Rは、スタートで全車が通過したあとコースイン。序盤の数周でGT300車両を抜き去り、8周目にはGT500 14台中13位にまで浮上。その後も速いペースで周回を重ね、後半を受け持ったトレルイエも速いラップタイムで先行車とのギャップを埋め続け、最終的には8位でフィニッシュして選手権ポイントを加算した。予選9位の「IMPULカルソニックGT-R」(#12 松田次生/セバスチャン・フィリップ)も、早い段階でスタートドライバーの松田が6位に順位を上げ、さらにドライバー交代前には4位にまであがった。しかし、交代したフィリップがドライブ中に他車と接触。これに対しドライブスルーペナルティを課せられて後退。7位でレースを終えた。


ニスモ監督 鈴木豊
「1号車はポールポジションを獲っておきながら、トラブルでピットスタートとなったのがとても残念です。ですが、ドライバーもチームスタッフもベストの仕事をしたので、次につながるレースになったと思います。次戦のSUGOは苦手と言われていますが、クルマの速さはあるので気持ちを切り替えて頑張ります」
#3 GT-R ロニー・クインタレッリ
「優勝はすごくうれしい。優勝のチャンスがあると思っていました。タイヤもチームも良かったし、僕たちドライバーもセパンに向けてトレーニングをしてきました。決勝では、スタートから4周ぐらいをめいっぱい走って、2位との差をつけてからはタイヤのマネージメントもできました。終盤になっても予想以上にタイヤがもってくれました」
#3 GT-R 安田 裕信
「うれしい、の一言です。鈴鹿ではクラッシュしてチームに迷惑をかけてしまいました。だから今回、少しでも恩返すことができたかなと思います。交代してNSXを引き離してからは長谷見監督から無線で”落ち着いていけ”、と言われました。GT500での優勝は思っていたより早かったです。ファンの皆様やサポートしていただいている全ての方々に感謝したいと思います。ありがとうございました」


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