Vol.
2014.8.11
皆さん、こんにちは!
台風11号の接近によりレースの開催自体が危ぶまれた週末、それでもたくさんのお客様がNISMO本社ショールームや日産本社ギャラリーのパブリックビューイング、そしてサーキットに足を運んでくださり、本当にありがとうございました。
ピットにいる私たちはまだ安全ですが、皆さんは雨風にさらされながら一生懸命応援してくださいました。その皆さんの熱意に背中を押していただき、NISMOは2位表彰台を獲得することができました。言葉には表しきれないほど、心から感謝しています。
SUGOでは、マシントラブルという根本的かつ重大な問題がありましたが、それに加え、荒れた天候の中チームの戦略が全く機能しなかったレースでした。そんなSUGO戦の後のこの富士戦も台風接近という最悪な天気予報・・・実際天気はめまぐるしく変化しました。そんな難しい状況下においては、決断するべき瞬間に決断する勇気がチームには必要で、その決断が最終的に正しかったかどうかよりも、その決断するべき瞬間を逃したことによる失敗の方が、チームにとっては悔いが残ることがあります。今回のレースはそんな悔いがほんの少しだけあったけれども、SUGOの反省点が活かせたレースであったと思っています。
今回は土曜日の朝の走行から調子が良く、自信を持って予選に臨むことができました。
QF1は唯一1.29秒台をたたき出した39号車には手が届かず2位という結果でしたが、ウェイトや燃料リストリクターのハンディを考えれば、QF1を担当した次生くんもここまでマシンを仕上げたチームも完璧な仕事をしたと思います。
QF2はGT500クラスがスタートした途端雨が降り出し、続々ドライタイヤからウェットタイヤに変えるためにピットインをするマシンがいる中、NISMOは他のマシンよりも1-2周長くドライタイヤでコース上にステイしましたが、結局タイムが伸びないと判断し、チェッカーまで残り3分というタイミングでウェットタイヤに変更しました。最終的にはドライタイヤで最後まで耐えきった17号車がポールポジションを獲得し、NISMOは0.3秒差で2位という結果ではありましたが、ウェットタイヤに変えたマシンが続々とタイムを出していく中ドライタイヤで走り切るという判断は、限られた時間の中の予選においてはかなり難しいものだと思うので、NISMOの判断は間違いではなかったと思っています。メカニックのタイヤ交換も素晴らしかったし、QF2のRONNIEの走りも全くミスがなかったと思います。
そして決勝日。朝から雨が強く降ったり止んだりの繰り返しで、このままではレースが出来るのかどうかもわからない、といった空模様でした。しかし幸運にもピットウォークやグリッドウォークの時間帯にはほとんど雨が降らず、お客様にとっても良かったと思います。
レース開始はいつもよりも1時間遅い15:00からでした。安全のためセーフティーカー先導によりレースがスタートし、スタートを担当したRONNIEは5周目で17号車を抜きトップに踊り出ることができました。しかし、後方には1秒以上速いペースで走る同じミシュランタイヤを装着する18号車が詰め寄ってきており、その後18号車にトップを譲ることになってしまいました。
10周目、いきなり雨が強くなりセーフティーカーが入りました。その間マシンが壊れるのではないかと1周1周が長く感じ、チームは気が気ではありませんでした・・・。その後20周目にレースは再開されるも、前を行く18号車のペースにはついていけず、徐々に離されていきました。それでも2位をキープしながらRONNIEは踏ん張り、33周目にピットイン。次生くんにステアリングを渡しました。
そのメカニックのピット作業は約33秒と「これぞNISMO」と言える、素晴らしい仕事でした。そんなメカニックに送り出された次生くんは、早めにピットインを終え徐々にポジションアップをしながら背後に迫ってくる32号車と、約16秒差を前に行く18号車の2台のNSXに挟まれながらも、いいペースで少しでも表彰台の真ん中に近づこうと頑張っていました。ところが、そこで再度豪雨・・・。残り8周というところでセーフティーカーが入りました。リスタートして18号車を抜かすチャンスを得たいという気持ちと、この状況でリスタートをしたら危険だという気持ちが入り混じってはいましたが、セーフティーカー先導のままレース終了という判断は正しかったと思いますし、この荒れたレースで大きな事故もなくGT500・GT300クラスとも全車完走することができたことは、全チームが胸を撫でおろしていることでしょう。
マシンから降りてきた次生くんも少し悔しそうではありましたが、今回はドライバーもメカニックも良い仕事をしたし、エンジニアもマシンをきちんと仕上げてきました。そして、何より・・・これまでのレースとは違い、ピットの中や無線ではみんなの声が飛び交っていました。それはみんながいつもよりもお互いをフォローし合い、協力し合っている姿でした。また、今回は多くのチーム員がピット内のモニターで一緒にレースを見届けていました。その一体感はとても大事なのです。全てを細かく分析すれば、このレースウィークの中で、ほんの少しの悔いが残る場面があったのは事実です。しかし、その中でもこの2位表彰台はこれからチャンピオンシップに向けて、そしてさらにNISMOがレベルアップを目指すためには、15ポイント以上に価値のあるものだったと思っています。
そして、5戦を終えた今、NISMOはポイントを大きく逃してきたレースが3戦あり、そこでポイントだけではなくチームにとって必要な何かを失ってきました。シリーズポイントリーダーの37号車とは、まだ9ポイントの差があります。残り3戦でこの失った大事なものを取り返し、必ず最終戦ではチャンピオンの称号を手に入れるために頑張ります!
GT-R勢としては、46号車は最後尾から徐々に順位を上げ6位、12号車は重いながらも確実に3ポイントを獲得し8位、24号車はドライコンディションでは手応えを感じながらもウェットコンディションでは苦しみ15位、GT300クラスの3号車は戦略やコンディションがうまくマッチせずに10位、という結果となりました。
最後に、繰り返しにはなりますが、台風の中、応援ありがとうございました!想像をはるかに超えるお客様が現地に駆け付けてくださり、感動しました。また、次は鈴鹿でお会いしましょう☆